これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。
当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、トヨタとGMがタッグを組んで生み出したヴォルツについて紹介していこう。
文/フォッケウルフ、写真/トヨタ
■2000年代初頭に登場した早すぎたクロスオーバー
相変わらずクロスオーバーSUVが売れている。昨今の市場動向を鑑みると、いまやクルマ選びにおいては「1台でいろいろできる」ことが求められているようだ。
たとえばセダンの正統派として長らく愛されてきたクラウンが、セダンとSUVを融合させた新しいスタイルへと変わったのは、“多様化するライフスタイルや価値観に寄り添った”結果。また、ユーザーが単一ジャンルのクルマよりも、他ジャンルの特徴を複合的に持ち合わせたクルマを求めていることの証明と言えるだろう。
こうした市場動向が2000年代初頭に確立されていたとしたら……トヨタ ヴォルツは間違いなくSUVクラスの売れ筋になり、登場からわずか2年で姿を消すことはなかったはずだ。
なぜなら、個性を強調したアグレッシブなデザイン。4365mmの全長、全幅を1775mmとした3ナンバーボディとしながら、日本の交通環境で扱いやすく、そのうえ幅広い用途に対応できる優れた機能性を持ち合わせていたことなど、その特徴は昨今の自動車市場で人気を博しているクロスオーバーそのものだからだ。
今から20年前にクロスオーバーSUVとして華々しく登場したヴォルツは、トヨタとGM(ゼネラルモーターズ)が共同で企画、デザインし、トヨタが設計を担当。生産はトヨタとGMの合弁会社であるアメリカのNUMMI(NEW UNITED MOTOR MANUFACTURING,INC.)で行い、日本に輸入されていた。
ターゲットユーザーは“アクティブなライフスタイルを志向する若者”で、アメリカでは多様な価値観の持ち主と定義されていた“ジェネレーションX”と呼ばれる世代とされ、開発に際しては入念な市場調査が行われた。そこから導き出されたのが、スタイルと走行性能がスポーティで、車内にワゴンのような実用性を有した「スポーツユーティリティワゴン」という、カテゴリーに縛られず、より多くの付加価値を提供できる新ジャンルのクルマだった。
コメント
コメントの使い方トヨタを称賛するというか、これをきっかけに~~みたいなコメントばかりですが、これが中国との企画だったらどうなっていただろう。わたしは中国よりアメリカの方が断然嫌いなんだけれど。
グリルの縁にメッキモールを貼り付けたら、某ドイツ車と勘違いして買ってしまう人もいたかもね。
めちゃくちゃな条件を飲まされたましが、ただでは起きないトヨタ、挑戦的な新ジャンル開拓したのと共に
これを機に国外での工場によって雇用や部品産業に貢献することで、摩擦をなくし世界各地で地元になくてはならない存在になっていきました。
貿易不均衡から生まれた車だね。米国生まれ