■ワゴンライクに使える優れたユーティリティ性能が持ち味
コンパクトカーに分類されるが、“ユーティリティ・ワゴン”というだけあって、実用性は同クラスのモデルとは一線を画している。1420mmに設定された室内の幅は、他車に比べて広いわけではないが、2列目のシートが50対50の分割可倒式なうえ、ヘッドレストとシートバックを外すことなく前倒しとフルフラットが可能となっている。
これにより、乗員数と積載する荷物に合わせた多彩なシートアレンジが行えるので、ファミリーカーとしてだけでなく、趣味でクルマを使う人など、幅広いユーザーに適応できる。
収納スペースは運転席まわりにインパネアッパーボックスやカップホルダー、インパネポケットトレイをはじめ、オーバーヘッド部にもサングラスポケット、ドアには可倒式大型ドアポケットを採用。
後席には足もと収納ボックスが備わり、荷室にラゲッジトレイやサイドボックスなど、その数は全16カ所。優れた積載性や気の利いた収納スペースが豊富に備わっていることもSUWならではのメリットと言えるだろう。
パワーユニットは、1.5LのGDIエンジンと4速ATの組み合わせだ。小排気量だが低回転域から十分なトルクを発生する特性によって、ストレスを感じさせない軽快な走りが味わえる。レギューラーガソリン仕様で、経済的で環境に優しいというのも特徴だ。2000年1月には排気量1.3L、さらに翌月は排気量1.8Lエンジンが追加されている。
標準仕様のほか、人気の高いフレーリーパールというボディカラーを採用した特別仕様車の「パールディンゴ」。エアロパーツや15インチアルミホイール、ローダウンチューンドサスペンションを装備した「エアロ」。外観に専用アイテムを多数採用した「ユーロディンゴ」など、魅力的なバリエーションを揃えていたのも、ディンゴが三菱自動車のカーラインにおける大きな柱に位置付けられていた証とも言える。
新しい企業ポリシーを具現化したクルマとして期待され、順風満帆に思えたディンゴだが、2002年に発覚した三菱自動車のリコール隠しという不祥事が影響して販売は次第に先細りとなり、2002年9月に生産中止となる。
ディンゴが生産されていた期間はわずか3年8カ月と短いものの、それでも記憶に残っているのは、今どきのクロスオーバーモデルのようにコンパクトカーにワゴンの能力が融合され、コンパクトカークラスのなかでは高い実力を有していたことが理由として挙げられる。
さらに付け加えるなら、三菱自動車がサポートしていた浦和レッズの選手が着ていたユニホームにその車名が誇らしげに描かれていたことも、その名を広く知らしめた要因のひとつかもしれない。
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