クルマを楽しみたいけど、違反で捕まったり、注意されたりするのはイヤ。でもいったいなにが違反(違法)で、何が違反でないのか(合法)? クルマを運転しているとコレって違反なの? ということは意外と多いもの。
そこで、調べました。何がやったらいけないのか? を……です。
文:諸星陽一/写真:ベストカー編集部、ベストカーWeb編集部
高速道路の追い越し車線を走り続ける
よく、疑問視されているのが高速道路や自動車専用道路での追い越し車線を走り続けるという違反です。この違反は「通行帯違反」と言われるものです。
ときおり、2kmまでは大丈夫という基準らしきものを見かけますが、これには何の根拠もありません。追い越し車線は基本的に追い越し時にしか使うことはできないのです。

例外は緊急自動車に道を譲るときや、工事などでやむを得ないときなどです。高速道路や自動車専用道路では、走行車線を走り、先行車に追いついたときに右側に車線変更して追い抜くの正しい走り方です。
追い越しは右側から行わなくてはならないと道路交通法に記載されていますので、左側から追い越しを行うのはそれだけで違反です。追い越しとは車線変更をともなう追い抜きのことです。左側車線を走っていて、右側車線のペースがダウンして左側から抜いてしまうのは違反ではありません。

右折禁止でのUターン
またよくわからないとされているのが右折禁止(指定方向外進行禁止標識で直進と左折しかできない)の交差点での転回(Uターン)が可能かどうか? ということです。これは可能です、転回と指定方向外進行は別に考えます。
以前は右折矢印でのUターンは違反とされていましたが、現在は右折矢印でのUターンは違反とはなりません。

ただ、右折禁止の場所は右折のための車線が用意されていませんので、いくら違反ではないといってもほかのクルマに多大な迷惑を掛けるような場所でのUターンはひかえたほうがいいでしょう。
あと、Uターン禁止の場所の場合、前述のケースはあてはまりませんので、標識、補助標識などを見落としは厳禁です。

運転中のスマホ操作

スマホを操作しながらの運転が違反となることは皆さんご存じだと思います。
ただ今のところ、スマホホルダーにスマホを固定した状態で操作している場合は取り締まりの対象にならないこともあると言われています。これはスマホを保持していない……というのが根拠です。
ただし、現場判断ということで統一されていないため取り締まりの対象となることもありますので使用しないのが得策です。
いっぽう、スマホなど(ナビや車載テレビも)を凝視してはいけないという法律もあるので、ホルダーに固定していても凝視していたとされると逃れることが難しいかもしれません。

ヘッドホンを装着しての運転
運転中にヘッドホンやイヤホンを装着しているのは基本的には違反となります。特に気をつけたいのは両耳にヘッドホンをしている状態です。電話用のハンズフリーホンなどは片耳用を選んだほうが無難でしょう。
ハンズフリーでの通話については違法とする都道府県もありますので、ハンズフリーなら合法とは言い切れないので要注意です。
困った問題となっているのがイヤホンです。取り締まる側もよくわかっていないこともあるようで、補聴器、集音器を使っているのにヘッドホン使用ということで取り締まりを受けたという話も聞かれます。
スマホ操作やヘッドホン、イヤホンについては自動車の運転だけでなく、自転車の運転についても同様に取り締まり対象となるはずなのですが、一考に取り締まっている様子は見受けられません。
違反状態の自転車が危険運転をすることも多く、ドライバーとしては見過ごすことがないようにしてもらいたいものです。

タイヤのフェンダーからのはみ出し
タイヤのはみ出しについて今はちょっとゆるくなっているのですが、実はそれを大きく勘違いしている人も多いのです。
タイヤは中心に引いた鉛直線の前30度、後ろ50度の部分からはみ出してはいけないという規程だったのですが、現在は「タイヤの10mm未満ははみ出てもいい」となっています。

ただし、はみ出ていいのはタイヤであってホイールやホイールキャップではないのです。つまり、ホイールよりもタイヤが膨らんでいる場合や、リムガードが装着されている場合のようなときに10mm未満ならはみ出ていい、ということなのです。
よく、「こんな状態で大丈夫なの?」と思うような鬼キャンのクルマを見かけますが、鬼キャンの場合は上部が内側に入り込んでいる、つまり鉛直線の前30度、後ろ50度の部分ははみ出ていないので大丈夫、というわけです。
最低地上高が90mmよりも低い
クルマの改造では車高調整式のショックアブソーバーなどを組み込んで、車高をダウンすることがよくありますが、車高を下げるにも規程があり、やたらと下げていいわけではありません。
乗用車サイズのクルマの場合、まずは90mmというのが基本的な最低地上高となります。この90mmにはサスペションなどの可動部分は含まれません。サスペションなどを除いて90mmが確保されていれば問題ありません。
しかし、さらに低くても大丈夫なことがあります。それはエアロパーツの装着した時の最低地上高は50mmで大丈夫です。ただしこうした場合、許されるのはエアロパーツが単体であることです。

すでにフロントスポイラーの最低地上高が90mmのときに、リップスポイラーを追加して50mmになっても問題ありません。しかし、フォグランプ組み込み型フロントスポイラーに交換して50mmになった場合はNG。エアロパーツ単体ではないからです。
またアンダーカバーの場合も最低地上高は50mmでいいことになっています。
ヘッドランプを黄色に交換
クルマの保安基準のなかでも特に厳しいといわれているのが灯火類です。灯火類というのはつまり、ヘッドライト、テールランプ、ウインカー、などです。
ところで時々ヘッドライトが黄色いクルマを見かけることがありませんか。実はちょっと前までクルマのヘッドライトは白または黄色となっていて、黄色も認められていたのです。

認められていたのは平成17年(2005年)までで、車検証の初度登録年月が平成17年までならヘッドライトを黄色くしても平気です。古めのフランス車などは黄色いヘッドライトが似合ったりすることもあります。
ただ、ヘッドライトの色は厳密に色温度というもので規定されているので、見た目が黄色くてもこの規程から外れたら車検は通りませんし、整備不良車ということになります。
今はウインカーといえばオレンジ色ですが、かつては赤でも大丈夫な時代もありました。
このように灯火類は使える色や点灯方式が時代によって変化しているので、隣のクルマが大丈夫だから自分のクルマも大丈夫という安易な考えで変更することができないので注意が必要です。