■「技術の日産」を彷彿させるメカニズムを数多く搭載
パワーユニットは2.0Lの「SR20DE」と1.8L「QG18DE」の2タイプを設定したほか、2000年3月にはハイブリッドカーの「ティーノハイブリッド」も追加された。
ハイブリッド仕様の動力源は、当時としては先進のシステムで、モーターは17kWの最高出力を発生する交流同期電動機とし、駆動用バッテリーはマンガン系正極リチウムイオンバッテリーをふたつ搭載した。エンジンはQG18DE型をベースにしたミラーサイクルエンジンで、最高出力101ps、最大トルク14.4kgmという動力性能を達成していた。
”NEO HYBRID”と呼ばれるハイブリッドユニットは低速時、中・高速時、急加速時など、走行状況に応じて動力源を使い分けて最適な動力伝達を行っているが、その要となるのが新開発ハイブリッド用高速電子制御システムだ。
エンジン、モーター、CVT、バッテリーといったハイブリッドシステムを構成するユニットをすべての運転領域において最適に制御することで、滑らかで力強い加速とスムーズな減速を実現しながら、同クラスガソリンエンジン車に比べて2倍以上の燃費向上と排気ガスのクリーン化を両立している。
ハイブリッドの販売台数は100台限定。インターネットによる受注生産という時代を先取りした販売方法も話題となって100台は早々に完売。その後は反響を見て、増産を検討するとしていたが、ティーノハイブリッドが登場した2000年当時の日産は、カルロス・ゴーンCOO(当時)が提唱した経営再建のためリバイバルプランを推進している真っ最中。決して小さくない開発コストが負担となるティーノハイブリッドが増産はもちろん、カタログモデルとして販売されるも見送られた。
“ティーノ・プロポーション”という独自性を打ち出し、2列シートで6人乗れて、多彩なシートアレンジができるなど、オールマイティに使えるクルマとしてファミリー層に支持されることを狙っていたが、3ナンバーサイズであったことや価格が割高であったことなどが影響して売れ行きは低迷する。
日本では2003年3月に生産を中止していたが、欧州では2006年3月まで生産が続いていたことは、海外市場を意識した作り込みが功を奏したのかもしれない。
既存のクルマとは違う斬新なアイディアが採用され、NEO HYBRIDをはじめとした”技術の日産”の名に恥じないメカニズムも数多く搭載された。ごく普通のありふれたクルマではないから、たとえ1世代限りで生涯を終えたとしてもこうしてクローズアップされているわけだ。
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