こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】セダンなのに6人乗りもあった! わずか4年しか生産されなかったアメリカ産の[プロナード]

■上品な佇まいに見合った心地いい運転感覚

 パワーユニットは、215ps/30.5kgmを発生するV型6気筒3Lエンジンを搭載。回転数と負荷に応じて吸気バルブタイミングを最適に制御するVVT-iや、走行状態にあわせて吸気管の長さを制御する3段可変吸気システム(ACIS-IV)といったメカニズムの採用により、クラストップレベルの低中速トルクを実現している。

 ボディサイズは全長4895mm、全幅1820mm、全高が1460mmという堂々としたサイズで、車両重量は1500~1540kgとなるが、それをことさら意識させず、ドライバーの意思に忠実なフィーリングが味わえた。

 足まわりは4輪独立懸架方式で、フロントにはマクファーソンストラット式、リアにはデュアルリンクストラット式を採用し、前後ともスタビライザーを設定することで、路面の状態を問わずしなやかな乗り心地と優れた操縦安定性を発揮する。

 乗り心地が快適なうえに、エンジン本体からボディへ伝わる振動を低減するアクティブコントロールエンジンマウントが採用されたことで、アイドリング振動を大幅に抑制したうえに、防振サブフレームや高剛性ボディの採用、制振材・吸遮音材を適所に配置。エンジン本体の低騒音化、車内へノイズ侵入の抑制、さらに優れた空力特性の追求によって、高級セダンにふさわしいNVH性能を実現していた。

横長のメーターとドアトリムへとつながるインパネの造形は、伸びやかな印象を与える。パーソナル空間を演出しつつ、明るく高級感のあるアイボリーを基調とするツートーンの配色がラグジュアリーな雰囲気を演出
横長のメーターとドアトリムへとつながるインパネの造形は、伸びやかな印象を与える。パーソナル空間を演出しつつ、明るく高級感のあるアイボリーを基調とするツートーンの配色がラグジュアリーな雰囲気を演出

 2002年9月にはマイナーチェンジを実施した。上品な外観は、クロームメッキを施したフロントグリルや、開口部に広がりを持たせたフロントバンパー、きらびやかなイメージを強調したリアコンビネーションランプ、さらに立体的な形状のライセンスガーニッシュなどを採用することで、プロナードの特徴であるワイド感とプレミアムなイメージがさらに際立った。

 車内も木目調&本革巻きステアリングホイール、木目調&本革巻きシフトレバーノブ、ロゴ入りアルミスカッフプレートといったアイテムを加え、インテリアカラーにも変更が施された。装備面ではディスチャージヘッドランプや、雨天時の視認性を確保する撥水機能付フロントドアガラスを備えて安全装備の充実させたほか、アンサーバック機能を備えたワイヤレスドアロックリモートコントロールを全車に標準装備するなど、利便性の向上が図られた。

 発売当初から積極的にプロモーションしたものの、アメリカ産の逆輸入車というレア感はユーザーにいまひとつ響かなかった。当時のトヨタには、クラウン、アリスト、マークII、クレスタ、カムリといった人気車種が存在し、他メーカーにもセダンの選択肢は豊富だったことも販売が振るわなかった要因と言っていい。

 日本での販売期間はわずか4年。新車登録台数の累計は7620台というトヨタ車とは思えないような数字にとどまり、その後のクルマに影響を及ぼすこともなかった。販売は残念ながら狙い通りにはいかなかったものの、プロナードという車名はフランス語の「Prôner(称賛する)」からつけられたもの。シンプル&プレーンな上級セダンとしての実力としては、間違いなく称賛されるレベルに達していた。

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