僅か3年のコラボレーションを経て、マクラーレンとホンダはその袂を別った。結局、噂されたホンダF1撤退はFIAとF1マネージメントの強い後押しによって免れ、2018年からホンダがトロロッソへパワーユニット供給することに決定。
いっぽうマクラーレンにはルノーエンジン搭載が決まるなど、一連の動きが9月15日に正式発表された。“名門”マクラーレンと別れ、“強豪”レッドブル傘下のトロロッソと提携することは、ホンダF1にとって復活に向けた追い風となる!!
文:津川哲夫/写真:HONDA、Red Bull Content Pool、Mclaren
マクラーレンとの決別に至ったホンダF1の現状
今回の発表に至るまで多くの批判は、全てホンダに向けられてきた。確かに4社(メルセデス、フェラーリ、ルノー、ホンダ)のF1パワーユニットで最下位の状況である事は隠しようもなく、プライドの高い老舗マクラーレンには我慢のならない状況が続いてしまったのだから、彼らの憤懣(ふんまん)はある程度理解できる。
特に問題は性能ではなく信頼性の欠如。レース期間の3日間、決勝レースを含めた6セッションで2台のマシンに問題のなかった週末はほとんどなかった。
現在のF1はそもそもメカニカルトラブル等ほとんどないのがトップチームであり、弱小チームなら弱小なりに、パワーユニットやギアボックスの保守を徹底し、どちらのグループであっても一時代前とは比べ物にならないほど、その信頼性は向上しているのだから。
さらに問題なのは、その信頼性の部分。同じエリアが問題になり続け、対策は行っているが、完全解決に至らない。信頼性の確保など、受け身の開発に終始し、競争力アップを図る開発は後手後手に。無難に通常開発を進めてゆく他社のパワーユニットに水を空けられ続けてしまった。
もちろん、ホンダにも言い分はあるのだが、この開発の遅さはF1コンペティションでは通用しないということなのだ。
そもそもなぜマクラーレンはホンダを求めた?
と、ここまではホンダにネガティブな意見だが、マクラーレン自体に非はないのか?
マクラーレンは、大型チーム(チームだけでなくグループ企業全体)を維持するためにいろいろな形でのステータスが必要。彼らはプライベーター・カスタマーパワーユニット搭載を嫌い、どうしても“ワークス”のステータスがほしかったのだ。
既存の3社(メルセデス、フェラーリ、ルノー)は、それぞれワークスチームを持つ。残るはホンダしかなかった。過去の栄光、ホンダの技術力……等々言葉は繕っていたが、要はワークスステータスを、それも彼らがリードラインを握ることのできるのはホンダしかなかったといって良い。
ところが、ホンダとのコラボが決まった時点で、すでにマクラーレンのF1チームとしての能力は大きく後退していた。おそらくそれを知ってたからこそ、ホンダとのコラボを急いだのかもしれない。
実際にホンダとの提携以前に多くのシニアメンバーは他チームへと移籍してしまい、現在でも流出は続く。スタッフの多くが新規にリクルートされた者たちで構成されている。
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