スーパーGTでは明るい兆しが見えてきた2017シーズンのホンダ。それでもかつてのような上位に食い込む走りというのはすでに懐かしいものになりつつある。
一歩一歩着実に前進しているのはわかるけれど、かつての栄光を知るファンにとっては超さびしい現状ではないだろうか?
しかし2018シーズンのスーパーGTにはホンダの絶対的エースでもあった道上龍が帰ってくる。しかもGT300、そして日本初参戦のNSX GT3での闘いとなる。
大注目の34号車「モデューロ・ドラゴ・コルセ」の発表会が厚木にて行われた。その意気込みをご紹介しよう!!
文:ベストカーWeb編集部/写真:塩川雅人
■恩師と卒業生、師弟関係のままレースに挑む!?
ホンダが勝てない!! そんな思いでヤキモキしたファンも多いと思う。やっぱり強いホンダ、強いNSXへの思いはホンダファンならずともあるはずだ。
でもでも、今年のホンダはなんか違う!! F1もトロ・ロッソとのタッグで新たな風が吹きそうだし、GT500にはジェンソン・バトンが参戦するし、なにかと期待ができそうなのが今年のホンダのモータースポーツ。
そのなかでも最新のビッグニュースはGT300への2台のNSX GT3の参戦だろう。かたやプライベーターの「CARGUY」チーム。
そしていっぽうはあのホンダのエースともいえる道上龍選手が率いる「モデューロ・ドラゴ・コルセ(車名:モデューロ ケンウッド NSX GT3)」だ。カーナンバーは34。その34号車の参戦取材会が15日に厚木のファクトリーで開催された。
ドライバーラインアップは事前に発表済みだったが、道上龍チーム代表兼ドライバー、そして新進気鋭の若手ドライバー大津弘樹選手(23歳)のタッグになる。
このふたり実は「鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)」での恩師と卒業生という間柄。道上選手はこう語る。
「大津選手は若い勢いがあってとても楽しみ。なんせシェイクダウンだから、マシンを転がすだけだよって言っているのにピットに戻ってきたら”いやー、結構リアが滑りますね”なんて言いますからね。
あとは本人の走りのクセとか、好みもわかるのでこうしてチームメイトとして走るのは楽しみです」。
いっぽうの大津選手は初戦の意気込みを聞かれ「目標は高く、ポールポジション、決勝1位でいきますよ!!」とかなり強気な発言。「おいおい大丈夫か!?」と道上選手からツッコミが入るなどすでにムードはよさげ。
そんな師弟関係の2人がタッグを組むこのチーム、もちろん初陣からの大飛躍は現実的には厳しいかもしれないが楽しみだ。
■日本初参戦!! 約6000万円のマシンはどうなのさ!?
今回の34号車に使用されるのはホンダのNSX GT3マシン。価格は46万5000ユーロ(約6175万円)の超高額だが、大前提としてワークス(メーカー直系のチーム)が関与することは禁止されている。
莫大な開発費高騰を防ぐために設けられたプライベーターのためのレーシングカーがGT3なのだ(とは言えなかには8000万円もするクルマもあるので決して安くはないけど)。
市販車のNSXは生産量の関係で買えない人が続出しているなんてウワサを聞くのだが、GT3マシンの供給は順調に進んだようだ。
そんなNSXは道上選手が「信頼できる」というチョン・ヨンフン監督がメカニック兼任でメンテナンスを行う。ちなみに二人の出会いも2005年の道上選手のル・マン参戦に遡るというから絆は深い。
「道上選手に怒られないように頑張る」とジョークも冴えたチョン監督だが、マシンセッティングなどはいくつものカテゴリーで経験豊富。NSXの進化についても着実に進みそうだ。
また面白いのがモデューロの名前のとおり、ホンダアクセスが提供するモデューロブランドがスポンサードしていること。2018シーズンはモデューロ開発責任者の福田正剛氏が全戦に帯同するということ。
いかにモータースポーツから量販車にフィードバックするかはこれからプランニングする、とのことだが、走りのよさを提言するモデューロだけに市販車のブラッシュアップも楽しみだ。
乗った感触としてはどうなのか道上選手に聞いてみると「ずっとGT500でNSXに乗ってきましたけど、なんというか共通点も多くあるので嬉しいですね。
ミッドシップという部分でリアの感触も非常にいいし、安心感も高いので」とのこと。性能調整などちょっと心配な点もあるが、GT300も輸入車勢がかなり進出しているだけに、チーム日の丸としてこのNSX GT3、そして進化した日産GT-R GT3の活躍は2018シーズンにどうしても望んでしまうことかも。
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