フェラーリは真っ先にE10燃料のアップデートを行った
第5戦まで常にコンペティティブに戦い続けてきたF1-75の車体、これに大幅で緻密な開発がなされたアップデートが投入されれば、大きな進展があるはずだ。
フェラーリはこれまでトップスピードでレッドブルの後塵を拝してきた。フェラーリは、現在の22年型PUはホンダとメルセデスにまだ追いついてはいないが彼らと戦う戦闘力は充分にあると言う。今回のアップデートにはそのPUに関したものも含まれていて、大きくパフォーマンスを向上させていると言う。
現実にはPUのフィジカルなモディファイは禁止されているので、今回は今シーズンから採用されているE10(エタノール10%混入)燃料の開発だと言う。FIAへの登録燃料は規則内での変更は可能で、これを再登録すれば良い。E10燃料への対処は全PUサプライヤーにとっての難問で、その対処への開発はまだ始まったばかりだ。フェラーリは真っ先にこの燃料アップデートを行ったわけだ。
なんと燃料の開発で数十馬力(20〜30馬力と言われている)の向上があるそうだ。これだけあればレッドブルホンダパワーに対抗できるし、またパフォーマンスの向上分を、トップスピードよりもダウンフォースに向ければ、より安定した走行性能にも貢献できる。どちらもカタロニア・サーキットには重要な要素となる。特にタイヤに優しい走りができれば……だ。
またF1-75のアップデートは、ウィング類にもほどこされ、新たなリアウィングやフラップなどが投入されそうだ。アッパーボディワークエアロの効率の向上とポーポシングに対処したアンダーフロアエアロの安定化などが今回のメイン・エイムとなる。
これらのアップデートが功を奏すれば、スペインでのフェラーリは再びその威力を増してくることだろう。もちろんレッドブルは信頼性をさらに向上させてくるはずだ。またイモラに前倒しで投入してきたプログラム・アップデートもカタロニアでさらなる開発パーツがあるはずで、トップエンドバトルはいよいよ本格的な戦闘状態に入る事になりそうだ。
さてメルセデスはどうか? 真のパフォーマンスを見せられるか
残念ながらこの戦いの中にいるべきメルセデスはここまでブルーな日々を送ってきている。未だに解決の目処がつかず、カタロニアにはもちろんアップデートが投入されるはずだが、過去5戦の遅れを何処まで取り返せるかには大きな疑問符がつく。願わくばポーポシング問題を解決しラッセルの言うようにW13の持つ真のパフォーマンスを見せてもらいたいものだ。
【画像ギャラリー】各チームポテンシャルに明暗の合ったマイアミGP、次戦バルセロナで改善するか?(4枚)画像ギャラリー津川哲夫
1949年生まれ、東京都出身。1976年に日本初開催となった富士スピードウェイでのF1を観戦。そして、F1メカニックを志し、単身渡英。
1978年にはサーティスのメカニックとなり、以後数々のチームを渡り歩いた。ベネトン在籍時代の1990年をもってF1メカニックを引退。日本人F1メカニックのパイオニアとして道を切り開いた。
F1メカニック引退後は、F1ジャーナリストに転身。各種メディアを通じてF1の魅力を発信している。ブログ「哲じいの車輪くらぶ」、 YouTubeチャンネル「津川哲夫のF1グランプリボーイズ」などがある。
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