「徳川幕府にならないように」トヨタ新型クラウン15代目の挑戦

「徳川幕府にならないように」トヨタ新型クラウン15代目の挑戦

 2018年6月8日、トヨタは今月26日に発表発売予定の新型クラウンのプロトタイプ版(といってもほぼ完成車)の報道試乗会を実施しました。さっそく乗ってみたところ、おお、これはすごい! めっちゃ走りがよくなっている!! あまりに進化度がすごいため、試乗インプレッションの前に編集部の感想とチーフエンジニア氏のインタビューをお届けします。

 正式な発表発売を直前に控え、新型クラウンの何が新しいのか、どこがすごいのかをざっくりとご紹介。まるでクーペのようなフォルムとなった新デザイン、「ロイヤル」、「アスリート」、「マジェスタ」といったグレード体系の廃止と、かなり大胆に「新しさ」を導入している新型クラウン、さてその実力やいかに??
文:ベストカーWeb編集部


■高齢化し続けるクラウンユーザー

 トヨタ・クラウンといえば1955年1月にデビューして以来、長く日本の高級セダンを代表する存在だった。

 しかし皆さんご承知のとおり、2000年代以降日本の高級セダン市場は輸入車(特にベンツ、BMW、アウディのドイツ御三家)に席巻され続けてきた。クラウンはまだ健闘を続けているものの、それ以外のモデル(同じトヨタのマークXや日産フーガ、ホンダのレジェンドなど)は壊滅的な打撃を受けている。

新型クラウンは2Lターボ、2.5Lハイブリッド、3.5Lハイブリッドと3種類のパワーユニットを持つ。また「RS」と名付けられたスポーツグレードが用意され、ナビ画面で走行モードを切り替えられる機能が用意される
新型クラウンは2Lターボ、2.5Lハイブリッド、3.5Lハイブリッドと3種類のパワーユニットを持つ。また「RS」と名付けられたスポーツグレードが用意され、ナビ画面で走行モードを切り替えられる(足回りや排気音、エンジン出力特性などが変更される)機能が用意される

 また、従来の高級セダンユーザーの多くがSUVやミニバンへ流れたことも、クラウンの立場を悪くした。ハリアーやアルファード/ヴェルファイアがヒットしたことで、高級セダン市場はさらに圧迫されたわけだ。

「90年代からずっと、クラウンのユーザーは高齢化してきました。12代目(S180型)のいわゆる【ゼロクラウン】が出ていくらか外部からユーザーが入ってきましたが、それでもクラウン全体の保有台数は下降し続け、14代目、【Re BORN】を掲げて相当新しいことをやったけれども、ユーザーの高齢化は止まらず、保有台数は半分にまで減ってしまった。だからこそ、この15代目ではまったく新しいことをやらないといけなかった」

 と語るのは、新型クラウンのチーフエンジニアを務めた秋山晃氏。

「(第15代将軍、徳川慶喜の時代に終焉した)徳川幕府になるなよ、と言われました(笑)」と軽快に語りながら、試乗会場でいくつか質問に答えてくれた。

■「変えたこと」と「変えなかったこと」

「新たにクラウンを作り上げるにあたり、形の上では何を変えてもいいと思っていました。それくらい従来のクラウンは追い詰められていた。そのいっぽうで変えてはいけないものもあると思っていました。それは【日本人による、日本人のためのモデルであること】です」

 と語る秋山氏。

 新型クラウンは全幅がきっちり1800mmに収められ、トランクもゴルフバッグ4つが収まるよう設計されている。また、当面、日本市場専売モデルとなる。

 そのかたわらで外観デザインは大きく変化した。ファストバックと見紛うような大胆なサイドラインを持ち、伝統の「ロイヤル」、「アスリート」、「マジェスタ」というグレード体系を廃止して、2Lターボ、2.5Lハイブリッド、3.5Lハイブリッドという3つのパワーユニットを軸にグレードを組み直している。

新型クラウンを真横から見たスタイル。大きくフォルムが変更され、特に流麗にまとめられた車体後部のデザインは、「ザ・セダン」とも言うべきこれまでのクラウンのイメージとは大きく異なる
新型クラウンを真横から見たスタイル。大きくフォルムが変更され、特に流麗にまとめられた車体後部のデザインは、「ザ・セダン」とも言うべきこれまでのクラウンの(特に「ロイヤルサルーン」の)イメージとは大きく異なる

「クラウンを買わなくなったお客さんに意見を聞いたところ、クラウンのイメージは【パトカー】、【公用車】、【社長が乗るクルマ】と、すべてロイヤルのイメージでした。しかし先代型クラウンの後半の販売比率を見ると、多くがアスリートだった。それならスポーティなイメージを前面に押し出して、従来アスリートが担っていた役割をベースにしていけば、これまでのお客さんも離れないし、新規ユーザーも獲得できると思いました」

 クラウンといえばこれまで長く、(特に初代モデル近辺は)ずっとアメリカ車を手本にして開発されてきた。しかし時代は移り変わる。新型を試乗してみると、まるでドイツ車のようにスポーティに、意のままに走り、曲がり、止まる。

「TNGA(トヨタの新しいプラットフォームを使ったクルマ作りの骨子)は、現行型プリウスに使われ、C-HR、カムリときて、このクラウンでさらに進化しました。これを我々は足し算開発と呼んでいます。これと、カンパニー制を導入したことで社内で【いいものを作ればみんなが協力してくれる】という体制が強化された。こういったことが、新型クラウンの開発に大きなプラス要素となっています」

 欧州の高級セダン勢を追い抜くため、日本人による日本人のためのサルーンとして開発された新型クラウン。少なくともクローズドコースでの試乗では、すばらしい出来栄えだった。特にこれまでのクラウンの、あのフワッとした乗り心地は完全に姿を変え、ビシッとしまった足回りとハンドリングが最大の特徴となっている。

 発表発売は6月26日となる。本記事ではほんの「さわり」の紹介だったが、今度は公道試乗でその実力をじっくり味わって、しっかりとその醍醐味を紹介したい。

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