ライトはN-ONE!? FRPは真空製法!? S660 Neo Classicはエンジニアの工夫の塊だった!!

先日お伝えしたS660 Neo Classic。いち早く紹介記事を掲載したところ大反響でした。ボディキットだけで129万6000円という価格にも驚いた人も多いと思うが、記事の反響からするとその関心は価格だけではないはず。

そんなS660 Neo Classicの実車がホンダアクセスにあるという情報をもらったので、実車撮影&開発者インタビューを実施。

実はブレーキランプがステップワゴンだった、などのびっくりエピソードも聞きつけました!! S660の新たな世界を見ませんか?

文:ベストカーWeb編集部/写真:塩川雅人


■こんなに思い切ったデザインの国産車は他にない!?

S660 Neo Classic(以下、ホンダアクセスのエンジニアが使用していた略称『ネオクラ』と呼ぶ)はその思い切ったデザインで話題を呼んだ。

早く実車を見たいな……、なんて思っていたらなんとホンダアクセスから「実車が到着するので取材に来ませんか?」とのお誘い。

ツルっとしたフロントグリルに大きなライト。S660のスパルタンな印象が一気に和む。そしてあたかも最初からこのデザインだったかのような印象だ

さっそくご対面。第一印象は標準車のS660よりもまた小さく見えた!! グリルがブラックアウトされていることも大きいのだろう。

デザインのコンセプトに「これ!!」というものはないそうだが、ホンダのSシリーズ(S800、S600、S500)にも似ている

事前にもらっていた写真よりも実車のほうがヘッドライトの存在感が大きく感じる。熱帯魚などの大きな目のようで、まるでディズニー映画に登場しそうな愛らしさ。

フロントライトはこのように取り付けられる。専用ボンネットはFRPだがしなりや歪みなどもなく、ボンネットダンパーも使用可能

そんなフロントスタイルも抜群にかわいいのだが、リアスタイルはクラシカルでありつつも縦に配置されたライト類が目をひく。

全体のプロポーションを見ていると「ちぐはぐ」な感じがない。特にフロントフェンダーからドアパネル、そしてリアフェンダーに続く、流れるようなラインは既存のドアのプレスを生かしたデザインになっている。

サイドの立ち上がり方を見るに、どこかスズキの名車、マイティーボーイを思い出してしまう。もちろんネオクラのほうがスポーティなのは言うまでもないのだが。

サイドの処理はお見事と言いたくなるような一体感。リア周辺のデザイン処理は少し”頑張った”感があるものの、軽自動車枠に収めるにはこれが最善の処理だろう

軽自動車サイズ、ベース車両のデザインを生かすなど、多くの制約があったと思うが、後付け感が皆無というのもこのボディキットの利点だ。

■ヘッドライトは「あえての」ハロゲン!?

実車を見て驚いた点がいくつかあるのでお伝えしよう。まずはヘッドライトのイメージについて。

リアのウィンドウは開閉できないデザイン。元からある小さなリアウィンドウは開閉できるものの、外界とはつながっていない

なんとヘッドライトがハロゲンだというのだ。クラシックな演出をしたいとのことで「あえての」ハロゲンだという。

もともとLEDヘッドライトのS660だけに、わざわざハロゲンのバルブを入れるということは電装系にもひと手間加えないとならない。

がっちりとしたリアゲートも歪みやたわみはなし

それでもハロゲンライトを採用するあたりにデザイナーこだわりを感じる。ちなみにこのヘッドライトはN-ONEの流用。開発者の塩貝僚さんが言う。

「ハロゲンライトユニットの寸法は全体的にLEDよりも大きく、それをあの狭いボンネットに装着するのは苦労しました。デザイナーがハロゲンは譲れない、ということだったので、頑張りましたよ(笑)」。

ご覧のようにフロントライトはハロゲン。もちろんN-ONEが純正採用するハロゲンライトなので実用性には問題なし

ほかにも軽自動車枠を超えてはいけないということもあり、ボディパーツの装着、そしてテールライトを含む電装系など、エンジニアたちは知恵を絞ったようだ。

また素材のFRPについても開発担当の内田和希さんはこだわりがあるという。

「サードパーティのFRPエアロパーツとは製法も違います。ネオクラでは”真空成形”を採用しています。取り付け時の寸法、そして歩行者保護などの保安基準、それらをクリアしています」。

一般的なサードパーティのエアロパーツは、グラスファイバーのシートに樹脂などを刷毛で塗り付けて層を作って固めていく。しかしそれではムラができたり、強度も充分とはいえない。

エアインテークにはかわいいフォントで車名のエンブレムがつく。もちろんこのインテークも機能部品

なんせネオクラはメーカー保証がつくパーツ。S660標準車と同じボンネットの機構が使える必要があり、ボンネットオープナー、ボンネットダンパーなどにも対応して当然なのだ。それを考えるとこのFRPの製法が最適ということだそう。

さらにはハイマウントストップランプはステップワゴン スパーダのパーツ、リフレクターは現行シビックのものなど、ホンダ純正パーツの流用も大事なポイント。

最後に開発に携わったエンジニアには聞きにくいが価格についても聞いてきた。ちょっと高いという声も聞こえてきますが……。

「そうですね、やはり少量生産であること、保安基準や歩行者保護、そして3年間6万kmという保証もつけているので。価格についてはそのような背景も込みで考えていただけたら嬉しいです」と内田さん。

3年6万kmの保証を付けるボディパーツってなかなかあるもんじゃない。メーカーのお墨付きのコストはとっても大きいのだ。

今回インタビューに協力してもらった開発担当の二人。商品企画担当の内田さん(左)と内外装担当の塩貝僚さん。メンバー間のコミュニケーションも充実していたそうだ

もちろんこの価格になることは製造の前から予測できることであり、そのリスクもわかりきっていたこと。

しかしホンダアクセス社内有志が作ったコンセプトモデルを発端にして、オートサロンでのお客さんへの好評ぶり、そして実際にその声に応えて製品化する一連の流れ。

なんだか「ホンダらしいなぁ、こういうの」と思った取材となった。

■買い方、取り付け方のまとめ

販売方法はボディキット、およびボディキットを装着した中古車の販売となる。つまりすでにS660を持っているオーナーはボディキットを購入することになる。

取り扱い店舗はホンダユーテック(ホンダの中古車販売を手掛ける会社)が運営する、「オートテラス城北(埼玉県)」「オートテラス鈴鹿東(三重県)」「オートテラス筑紫野(福岡県)」の3店舗。

メーカーの保証がつく部品ということもあり、必ずボディキットの購入、塗装、取り付けまでを上記3店舗で行う必要がある。キットだけの購入、DIYでの取り付けはできない。

コンセプトカーにはあった「HONDA」の切り文字のエンブレム。今回の取材車両には装着されていないが、ちゃんと希望者には用意があるとのことなので安心してほしい

またボディキットの129万6000円の価格には塗装、取り付け工賃などは含まれていない。価格などは塗装の工程(元の車体色から塗り替える場合など)で異なるので、問い合わせをしてほしい。

また、あまり実践する人はいないとは思うのだが、コンプリートカー「S660 ModuloX」をネオクラにすることはできないこともお伝えしておこう。

電動スポイラーなど専用装備を工場のラインで組んでいるため、それを外す対応が難しいのが主な理由だ。

ただしオプションパーツのModuloのサスペンションなどは、カスタマイズでネオクラに組み込めるので、思い思いの1台に仕上げることは可能だ。

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