■ヘッドライトは「あえての」ハロゲン!?
実車を見て驚いた点がいくつかあるのでお伝えしよう。まずはヘッドライトのイメージについて。
なんとヘッドライトがハロゲンだというのだ。クラシックな演出をしたいとのことで「あえての」ハロゲンだという。
もともとLEDヘッドライトのS660だけに、わざわざハロゲンのバルブを入れるということは電装系にもひと手間加えないとならない。
それでもハロゲンライトを採用するあたりにデザイナーこだわりを感じる。ちなみにこのヘッドライトはN-ONEの流用。開発者の塩貝僚さんが言う。
「ハロゲンライトユニットの寸法は全体的にLEDよりも大きく、それをあの狭いボンネットに装着するのは苦労しました。デザイナーがハロゲンは譲れない、ということだったので、頑張りましたよ(笑)」。
ほかにも軽自動車枠を超えてはいけないということもあり、ボディパーツの装着、そしてテールライトを含む電装系など、エンジニアたちは知恵を絞ったようだ。
また素材のFRPについても開発担当の内田和希さんはこだわりがあるという。
「サードパーティのFRPエアロパーツとは製法も違います。ネオクラでは”真空成形”を採用しています。取り付け時の寸法、そして歩行者保護などの保安基準、それらをクリアしています」。
一般的なサードパーティのエアロパーツは、グラスファイバーのシートに樹脂などを刷毛で塗り付けて層を作って固めていく。しかしそれではムラができたり、強度も充分とはいえない。
なんせネオクラはメーカー保証がつくパーツ。S660標準車と同じボンネットの機構が使える必要があり、ボンネットオープナー、ボンネットダンパーなどにも対応して当然なのだ。それを考えるとこのFRPの製法が最適ということだそう。
さらにはハイマウントストップランプはステップワゴン スパーダのパーツ、リフレクターは現行シビックのものなど、ホンダ純正パーツの流用も大事なポイント。
最後に開発に携わったエンジニアには聞きにくいが価格についても聞いてきた。ちょっと高いという声も聞こえてきますが……。
「そうですね、やはり少量生産であること、保安基準や歩行者保護、そして3年間6万kmという保証もつけているので。価格についてはそのような背景も込みで考えていただけたら嬉しいです」と内田さん。
3年6万kmの保証を付けるボディパーツってなかなかあるもんじゃない。メーカーのお墨付きのコストはとっても大きいのだ。
もちろんこの価格になることは製造の前から予測できることであり、そのリスクもわかりきっていたこと。
しかしホンダアクセス社内有志が作ったコンセプトモデルを発端にして、オートサロンでのお客さんへの好評ぶり、そして実際にその声に応えて製品化する一連の流れ。
なんだか「ホンダらしいなぁ、こういうの」と思った取材となった。
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