なるかスバル製PHEV日本導入!? スバルの最新兵器 クロストレックHV

 スバルが次の時代を見据えた最新兵器を投入! 2018年11月20日、スバル初のプラグインハイブリッド車(PHEV)「クロストレック ハイブリッド」が発表。現在米国で開催中のロサンゼルス・モーターショーで初公開され、12月中に米国で発売開始されることが明らかになった。

 クロストレックといえば、日本ではXVとして販売されている車種だが、初のPHEVはモーター出力、バッテリー容量ともに既存のハイブリッド「e-BOXER」を大幅に上回るスペックとなっているだけに、走り・燃費の双方から期待値は相当高い。

 このクロストレックハイブリッドが用いるPHEVが日本導入される可能性も充分にあり得そうだ。

文:ベストカーWeb編集部/写真:SUBARU


スバル初のPHEVはトヨタの技術もフル活用!

米国仕様のクロストレック ハイブリッド/全長×全幅×全高:4465×1803×1595mm、最低地上高:220mm。※価格は3万9455ドル(日本円で約400万円)

 まず、今回スバルから発表されたクロストレック ハイブリッドの概要をざっとおさらいしたい。肝となるPHEVは、2Lの水平対向4気筒エンジンにモーターとリチウムイオン電池を組み合わせたシステムとなる。

 エンジンは日本でXVなどに採用されているFB20型だが、スバルは「燃焼効率を高めた新開発の専用エンジン」と表現。実際にスペックを見てもクロストレック ハイブリッドの出力・トルクは139ps/18.5kgmと、同型エンジンを搭載するe-BOXERのXV アドバンスに対して出力で6ps、トルクで0.7kgmほど抑えられた仕様に差別化されている。

 発表内容にそれ以上のことは記されていないが、具体的にPHEV用のエンジンは何が違うのか? スバル広報部によると、「(既存のエンジンに対して)より高圧縮比されています。その他コンロッドなどパーツを見直している点は、従来我々が改良時に行ってきた手法と同様ですが、このエンジンではアトキンソンサイクル化も行っています」とのこと。

 絶対的なパワーでは劣るものの、エネルギー効率に優るアトキンソンサイクルは、トヨタのプリウスなどにも採用されているが、スバル車のエンジンに搭載されるのは初となる。

 さて今回のPHEVシステムには、もう一つ大きなポイントがある。それはトヨタのハイブリッド技術を活用した本格派の2モーターハイブリッドという点だ。

モーター出力は120馬力でカムリ級のパワフルさ

アトキンソン化された2Lエンジンに組み合わされるモーターは、最高出力120ps、最大トルク20.6kgmとパワフル。航続距離は約770kmと公表されている

 公表された数値を見ると、モーターの最高出力は120ps、最大トルクは20.6kgmで、この数値はトヨタがカムリに使っているモーターと同一スペック。さらにリチウムイオン電池もプリウスPHVと同一スペックとなっている。

 この事実からも、スバルのPHEVにモーターを含めたトヨタ THS IIのコンポーネンツが活用されていることがわかる。

 では、このシステムを専門家はどう見るか? 自動車のメカニズムに造詣が深いモータージャーナリスト、鈴木直也氏の見立てはこうだ。

「トヨタのハイブリッドシステムは、トルク分割機構が真ん中にあって、片側にモーター、もう片側にエンジンがあってバランスを取る複雑な仕組み。それだけに(スバルは)“面倒くさいことをよくやったな”という印象です」

 ちなみに、トヨタのシステムを活用したハイブリッドとしては、これまでマツダがアクセラハイブリッドを市販したほか、2004年には日産もアルティマハイブリッドを発売している。

 では、データから走りや燃費を占うとどうか?

「クロストレックは2Lエンジン。モーター・エンジンの出力で上回るプリウスより力強い走りが期待できるだろう」

 鈴木氏はこのように分析する。イメージとしてはプリウスと2.5Lエンジンのカムリの中間に位置する動力性能といったところで、そこにどうやってスバルらしさを出せるかが肝となりそうだ。

 一方、燃費面でも抜群のアドバンテージが期待できそうだ。発表値では燃費性能は90MPGeで、これを日本で使われる1リッターの燃費に換算すると38km/Lとなる。これに関して鈴木氏は「WLTCモード燃費に換算しても30km/L程度の優れた燃費を実現できるのではないか」と分析する。

 1モーターのe-BOXERに対して、新たなPHEVはモーター出力やバッテリー容量で優る2モーターの本格派ハイブリッド。パワー・燃費双方で文字通り、スバルの新しい武器となり得るポテンシャルを持つ。

量産効果考えれば「日本導入は必須」

価格は米国価格で約400万円と高価なクロストレック ハイブリッド。しかし、だからこそ量産効果でコストを下げるためにも日本導入は必要。プリウスもPHVは300万円台前半からの値付けで決して安くない

 さて、このクロストレック ハイブリッド改めXV PHEVは日本に導入されるのか? スバル広報部は「日本発売の予定はない」と明言するが、ではなぜ米国導入に踏み切ったのだろうか。前出の鈴木直也氏によれば、PHEVのクロストレック ハイブリッドは「ZEV規制対策のための車」だという。どういうことか?

 ZEV(排ガスゼロ車)規制とは米国カリフォルニア州の排ガス規制。ざっくり言うと、「州内で年間一定以上の台数を売るメーカーは、販売の一定割合をEVかPHEVにしなくてはならない」という規制で、スバルもこの規制に合わせたPHEVの開発が急務だったというわけだ。

 ただし、現実的に考えて1つの車種・市場のためだけに1つのシステムを開発することは考えづらい。

「(米国のほかに)ハイブリッドの市場といえば日本・欧州しかない。数を売る、規模のメリットを考えれば、日本に入れないとダメ」

 鈴木氏もこのように分析するとおり、量産効果を考えればPHEVの米国以外への導入は必然の流れ。となれば、日本市場はその最有力候補となるわけだ。

日本導入ならXVから? フォレスターPHEVも技術的には可能

【図】新中期経営ビジョン「STEP」。環境対応としてPHEVの市場投入が明記されている

 たしかに、日本ではフォレスター、そしてXVにハイブリッドのe-BOXERが投入されたばかりで、販売面を考えると今すぐにPHEVを導入したくないという“事情”もよくわかる。先述の「日本発売の予定はない」という“公式見解”からも、そうした事情を読み取ることができる。

 ここで、もうひとつ注目したいのが、スバルが2018年7月に発表した中期経営ビジョン「STEP」(【図】)だ。これは米国に限った話ではなく、スバル全体の計画を示すものだが、そこには「環境対応」のひとつとしてPHEVを導入することがはっきりと明記されている。

 これに加えて、日本における新車投入スケジュールも鍵となる。2018年にスバルが投入したフルモデルチェンジ車はフォレスターの1車種のみ。話題性を考えると少々物足りない印象だが、これに加えてe-BOXERを2車種に設定してきた。

 2019年もフルモデルチェンジ車はレガシィの1車種のみとなることから、「もう少しテコ入れしたい」となれば、PHEVを日本に導入する可能性はある。

 ここで注目すべきは、どの車種にPHEVを追加するのかということ。クロストレック=XVなので、XVにPHEVを追加設定することもできるが、別の車種はどうか?

「スバルは新世代プラットフォームのSGPを発表した当初から『電動化をみこしたパッケージ』と明言しているので、当然SGPを採用する車には、PHEVの搭載が可能だろう」

 現在、SGPを搭載するスバル車はインプレッサ、XV、そしてフォレスターの3車種。e-BOXERをフォレスター、XVの順で搭載したように、フォレスターにPHEVを追加する線もありそうだ。

 中期経営ビジョン「STEP」でスバルは、2021年頃から新設計エンジンの導入やEVのグローバル投入、そして新しいハイブリッドEVを順次投入していく計画を明らかにしている。とすれば、一連の新規ユニットが登場するまでにPHEVを積極的に活用していくはずだ。

 日本市場にPHEVが導入されるならば、車種はフォレスターかXV。時期は早ければ2019年後半、遅くとも2020年には導入される見込みだ。スバルの最新兵器の動向に注目だ!

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