量産効果考えれば「日本導入は必須」
さて、このクロストレック ハイブリッド改めXV PHEVは日本に導入されるのか? スバル広報部は「日本発売の予定はない」と明言するが、ではなぜ米国導入に踏み切ったのだろうか。前出の鈴木直也氏によれば、PHEVのクロストレック ハイブリッドは「ZEV規制対策のための車」だという。どういうことか?
ZEV(排ガスゼロ車)規制とは米国カリフォルニア州の排ガス規制。ざっくり言うと、「州内で年間一定以上の台数を売るメーカーは、販売の一定割合をEVかPHEVにしなくてはならない」という規制で、スバルもこの規制に合わせたPHEVの開発が急務だったというわけだ。
ただし、現実的に考えて1つの車種・市場のためだけに1つのシステムを開発することは考えづらい。
「(米国のほかに)ハイブリッドの市場といえば日本・欧州しかない。数を売る、規模のメリットを考えれば、日本に入れないとダメ」
鈴木氏もこのように分析するとおり、量産効果を考えればPHEVの米国以外への導入は必然の流れ。となれば、日本市場はその最有力候補となるわけだ。
日本導入ならXVから? フォレスターPHEVも技術的には可能
たしかに、日本ではフォレスター、そしてXVにハイブリッドのe-BOXERが投入されたばかりで、販売面を考えると今すぐにPHEVを導入したくないという“事情”もよくわかる。先述の「日本発売の予定はない」という“公式見解”からも、そうした事情を読み取ることができる。
ここで、もうひとつ注目したいのが、スバルが2018年7月に発表した中期経営ビジョン「STEP」(【図】)だ。これは米国に限った話ではなく、スバル全体の計画を示すものだが、そこには「環境対応」のひとつとしてPHEVを導入することがはっきりと明記されている。
これに加えて、日本における新車投入スケジュールも鍵となる。2018年にスバルが投入したフルモデルチェンジ車はフォレスターの1車種のみ。話題性を考えると少々物足りない印象だが、これに加えてe-BOXERを2車種に設定してきた。
2019年もフルモデルチェンジ車はレガシィの1車種のみとなることから、「もう少しテコ入れしたい」となれば、PHEVを日本に導入する可能性はある。
ここで注目すべきは、どの車種にPHEVを追加するのかということ。クロストレック=XVなので、XVにPHEVを追加設定することもできるが、別の車種はどうか?
「スバルは新世代プラットフォームのSGPを発表した当初から『電動化をみこしたパッケージ』と明言しているので、当然SGPを採用する車には、PHEVの搭載が可能だろう」
現在、SGPを搭載するスバル車はインプレッサ、XV、そしてフォレスターの3車種。e-BOXERをフォレスター、XVの順で搭載したように、フォレスターにPHEVを追加する線もありそうだ。
中期経営ビジョン「STEP」でスバルは、2021年頃から新設計エンジンの導入やEVのグローバル投入、そして新しいハイブリッドEVを順次投入していく計画を明らかにしている。とすれば、一連の新規ユニットが登場するまでにPHEVを積極的に活用していくはずだ。
日本市場にPHEVが導入されるならば、車種はフォレスターかXV。時期は早ければ2019年後半、遅くとも2020年には導入される見込みだ。スバルの最新兵器の動向に注目だ!
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