クラウンとて、もはや聖域ではない
トヨタとしては、大型FRプラットフォームをレクサスLS/LCなどに使うGA-Lプラットフォームに集約したいというのが中期的ビジョン。現行クラウンはGA-Lプラットフォームのナロー版である。
ところが、GA-Lプラットフォームは今後強化される側突対応などにより全幅1800mm以下とすることが難しくなり、クラウン専用プラットフォームを別に開発しなければいけないという。
マークXが現行型限りで消滅し、さらに、先日大幅なマイナーチェンジを実施したレクサスISも、フルモデルチェンジすることなく、マイナーチェンジを繰り返しながら進化しているのも、『全幅1800mm以下に対応する新プラットフォーム開発凍結』と密接に関係しているのだ。
ここで、マツダとの協業によるFRプラットフォーム共同開発の情報が思い出されるが、前出の関係者は「クラウンクラスのプラットフォームを協業とはいえ、トヨタ本体以外に任せることはない」と断言する。
それに「そもそもマツダのFRプラットフォームは全幅1800mm以下には対応していないので、その線はない」。
トヨタとしては、D~EセグメントをFF系プラットフォームに統一していく方針だという。その中心となっているのがカムリなどに使われるGA-Kプラットフォームだ。
カムリのサイズは全長4910mm、全幅1840mm、全高1445mmで、全長は現行型クラウンと同じ。ホイールベースは2825mmでクラウンより95mm短いが、エンジン横置きのFFのため、室内空間はFRのクラウンより広い。
後席足元の広さも圧倒的。レクサスではGSが廃止されて、カムリベースのESが事実上の後継車となっている。
クラウンがFFになる!?
カムリが実はクラウンのサイズをカバーしているのだ。次期型クラウン(に相当するモデル)はGA-Kプラットフォームを使用して、従来のセダン型にとらわれないモデルに発展する、というのが前出関係者の証言を総合した結論だ。
クラウンの名前は残るが、必ずしもこれまでの流れにあるFRセダンであることはない、というのだ。
そしてこのGA-KプラットフォームはRAV4、ハリアーといったSUVにも使われている。ハイランダーはRAV4のホイールベースを延長した3列シート版ともいえるモデルである。
ここで冒頭の中日新聞の報道を思い出してほしい。次期型クラウンはハイランダーのプラットフォームを活用したSUVになる、と伝えているが、本誌スクープ班がつかんでいた情報と符合する。
中日新聞の報道はかなり具体的だ。しかも本誌スクープ班がこれまでにつかんでいた情報との整合性もある。
おそらくは、トヨタの役員クラスが意図的にそれをにおわす発言をして、新聞記事に対する世間の反応を見ているのではないかと予測する。
一方で現行型クラウンは2022年以降もモデルラインナップを整理して継続生産されるという情報もある。
セダン型クラウンの需要は法人需要のみならず、個人ユーザーのニーズも一定数あることは間違いない。
3.5Lハイブリッド、2Lターボは廃止され、2.5Lハイブリッドに絞って継続販売することになろう。
また、公用車などのニーズに対しては、GA-Lプラットフォームをベースに新開発された新型MIRAIもあり、この両面で既存の『セダン型クラウン』のニーズをカバーする。
これが「新型クラウンSUV化」へ向けた計画だと、本誌スクープ班は判断する。
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