■次期型はHVかPHEVか、それとも…
それでは、WRX STIは、先代となるVAB型で歴史に幕を下ろすのだろうか。その点についてもリリースでは言及されている。
「自動車市場が電動化に向かう中、スバルは、変化する市場のニーズや温室効果ガス(GHG)、ゼロエミッション車(ZEV)、企業平均燃費(CAFÉ)などの規制要件を満たすために、将来のスポーツカーやパフォーマンスカーを、どのように進化させるべきかを考えています。その一環として、スバルは、次世代スバルWRX STIについて、電動化を含む可能性を検討しています。(著者による私訳)」
つまり、次期型WRX STIは、従来のままのガソリンエンジン車としての登場は難しいが、電動化などの異なる仕様で登場する可能性は高いということだ。スバルは決してWRX STIを諦めてわけではなく、時代の要件を満たした上で、ファンが納得する姿の「WRX STI」を投入するべく、新たなスタート地点に立つ宣言と受け止めるべきだろう。それを示すように、リリースの最後には、WRX STIへの想いが綴られている。
「スバルWRX STIおよびSTIブランドは、スバル独自のDNAとラリーの伝統を受け継ぐスバルのパフォーマンスカーの頂点に立つクルマです。 今後、STIのエッセンスを取り入れた次世代モデルの開発を進めていきます。」
2.4LのFA24直噴ターボを搭載した現行型のWRX S4が、2.0LのFA20ターボよりも最高出力と最大トルクが低いことが示すように、現実的なプライスを掲げる量産車にとって、出力性能と環境性能の両立は非常に難しい段階にある。
もし同じエンジン仕様のWRX STIを投入しても、ファンの期待には応えられず、「WRX STI」というブランドの提供価値とは異なるという判断なのだろう。正しくは、「新たなWRX STIを持続可能とする方向性が見いだせるまでは、生産の動きはない」と捉えるべき話なのかもしれない。
次期WRXはハイブリッドなのか、PHEVなのか、もしくはBEVになることもありえない話でない。また、投入のタイミングについては予測が難しいのが正直なところだ(トヨタとの協業も考えられるし、2025年頃までには…と予想しておく)。
直近の新型発売に希望がないわけではない。WRX STIのファンは、STIのヒストリーやポリシーを愛すると共に、熱心なMT好きでもあるはず。北米仕様の現行WRXには6速MTが用意されている。日本市場からの声が高まれば(仕様としては存在するため)日本仕様のS4に初のMT投入の可能性は十分にある。低中速のトルクの増した新S4ならば、よりイージーにMTを駆れるだろう。
新型WRX STIの早期登場は見込めなくなってしまったが、スポーツカー市場が縮小する今、新時代のWRX STIを待つ市場があることをメーカーに示すことも大切だろう。新時代のWRX STIの幕開けを信じ、スバルを様々な形で応援しつつ、今後の動向を見守ろう。
本情報に関しては、続報が入り次第お届けします。
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