詳細が分からぬまま、案内をスタートする販売店
混乱が収まらないのは販売店だ。2月上旬に突如、車種切り替えスケジュールにクラウンが登場し、「〇モ(フルモデルチェンジを指す)」の文字が躍った。立て続けにセダン型からリフトアップし、HEVのAWDモデルへ変化すると伝えられる。(しかし発売日は未定)
幾ばくもなくオーダーストップとなり、新型を販売する準備へ入っているが、販売店には肝心の情報が、まだほとんど届いていない。
唯一といっていい情報は「6月末に登場」というスケジュールだけだ。しかし現状はこれで動き出さざるを得ない販売店。特にクラウンを専売してきたトヨタ店にとっては、販売店を大きく支えるクラウンオーナーへの対応となる。全チャネル併売化後、初のモデルチェンジとあって、顧客の他社流出を避けようと囲い込みに必死だ。
販売店上層部からは、「可及的速やかに新型の案内をして、見込み客を作れ」と指示が出るいっぽうで、販売現場では「何を案内すればいいのか。我々が何も知らない状況では、クラウンオーナーに電話するのも失礼になる」と、対応に苦慮する姿も多く見かける。
結果として「6月末に新型が出ますけどいかがでしょうか、詳細はまだわかりませんが、追ってご連絡しますので」と、かなり苦しい誘致活動を強いられているようだ。販売店の顧客対応負担は非常に大きくなり、このままではせっかく築き上げた信頼関係を揺るがす事態にもなりかねないだろう。
見切り発車でクラウンの販促活動をすることは、よくあることだが、ここまで情報が錯綜し、絞られている状況は、筆者も見たことがない。
部品供給不足や生産工場の停止によって、新車が販売店に届かない状況は、既に常態化しているといっていい。「クルマが来ない」うえに、「情報も来ない」となると、販売店(特に顧客と最前線で接する営業マン)への負担は計りしれないものがある。
歴史と伝統がある車種だからこそ、それを支えてきたユーザーや販売店を、ないがしろにするべきではない。ここまで隠し通して、トヨタはクラウンをどうしようというのだろうか。
情報公開まであと少しだろう。トヨタが仕掛けたクラウン戦略の全容が、もうすぐ明らかとなる。
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