東南アジアを重要なマーケットと考えるトヨタは、クルマを販売するだけでなくモータースポーツの楽しさを広げていこうと、モータースポーツイベント「GRフェスティバル」を今年8月のフィリピンに続いてタイで開催した。微笑みの国、タイにもっと笑顔があふれるよう、モリゾウさんとGRのドライバーたちがフェスティバルを全力で盛り上げた。
文/写真:ベストカーWeb編集部
■トヨタとモリゾウさんとがタイを重視する理由
タイとトヨタの関係は1962年にタイトヨタが設立した時に始まり、2023年1月~10月の実績は22万台を販売し、シェアは34%とトップだ。
ただし、乗用車に限ればタイに生産拠点を持つBYDやMGが急速にシェアを伸ばしており、マルチパスウェイを掲げるトヨタにとってアジアマーケットにおける最重要マーケットといえる。
今回のGRフェスティバルが開催されることは大きな意味を持つ。
トヨタとタイの関係を少し深堀すると、2004年タイの国民車と呼ばれた「ハイラックス・ヴィーゴ」が発売され、その絆はより太いものとなった。
その少し前の2002年に「IMVプロジェクト」(新興国向けの新型プラットフォームを開発し生産を計画)を立ち上げたトヨタは、安くて安全性の高いピックアップトラックの開発をタイで進めることになった。
モリゾウさん(豊田章男トヨタ自動車会長)は、当時アジア本部長であり、この大規模なプロジェクトの責任者でもあった。
しかし、当時のトヨタ社内には「(豊田家の)御曹司のお手並み拝見」といった冷ややかな空気があったとも聞く。
実際、プロジェクトは一筋縄ではいかず、計画の見直しが噂されもした。しかし、モリゾウさんは陣頭指揮を執るべく、何度もタイに飛んではエンジニアをはじめ現地のスタッフと話すことで問題を解決していった。
「タイは私にとって第二の故郷です」
モリゾウさんが何のはばかりもなく、そう語るのは、苦労を共にしたタイの人々への感謝と彼らが持つ「クルマが大好き」という熱量への共感から生まれてくるものだろう。
そのタイの人々にモータースポーツの楽しさを感じてほしいと計画されたのが、今回のGRフェスティバルだ。
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