ボルボトラックの魅力は、国産車では得られない快適性や動力性能だろう。日本に於けるボルボ車の販売台数は過去10年連続で右肩上がりで、2020年の伸長率はトラックの全需要が減少するなか約20%に及んでいる。
そんななか、ボルボトラックスは2021年の11月29日、構内専用車のFMXとともに大型フラッグシップのFHを刷新し、同日より販売を開始した。
V字型LEDヘッドライトを採用して精悍な顔つきとなったFHの新型は、フロント周りの意匠を見直して空力を改善。インパネや操作系を含めて内装も一新し、先進・快適装備の機能も見直しが行なわれた。新型ボルボFHの実力はいかに?
文/フルロード編集部・多賀まりお 写真/フルロード編集部
【画像ギャラリー】ドラバビリティに磨きをかけ順当進化を遂げた新型ボルボFH(16枚)画像ギャラリー新型ボルボFHの概要
今般導入されるFH・FMXの2021年モデルは、細いV字型のLEDヘッドライトを共通モチーフとして採用されている。
FHはキャブ前面はヘッドライト周りだけでなく、フロントウィンドウ下部からバンパーまで全面的に形状を見直し、ギャップの僅少化によって空力性能を改善。
V字型のヘッドライトには、配置された12個のLEDを個別に制御して対向車や歩行者の眩惑を抑制する、アダプティブハイビーム機能も備わる(一部車種はハロゲンライト仕様)。
またバックミラーは、これまで助手席側のミラーを専用のステーで前方に配置する日本独自の方式を採っていたが、欧州仕様と共通のドアミラーが左右ともに採用された。
同ミラーの採用と併せて助手席側サイドミラーのアーム下部には「パッセンジャー・コーナーカメラ」と呼ばれるカメラを配置。左折時や車線変更時に映像をインパネ上のサイドディスプレイに表示することで、安全確認を補完する。
室内はインパネのデザインを一新するとともにトリムカラーをこれまでのブラウン系とブラックの組み合わせからグリーンとブラックに変更した。
メータークラスター全体が12インチの液晶画面とされ、運転状況にあわせて複数のビューモードを表示可能。新たに道路標識を読み取って、クラスター内に表示する機能も追加された。
また、クラスターの左側には9インチのサイドディスプレイを配置。同画面にはタッチパネルを採用し、多くの機能の設定をこのパネルで行なうことができる。
このほか運転席左側に付くI-シフトの操作レバーには新たにコンパクトなデザインが与えられ、ステアリングも左右スポーク部のステアリングスイッチの意匠を見直している。
室内装備ではべバスト社製のパーキングヒーターに加え、ビルトイン式のパーキングクーラー「I-パーク・クール」が全車に標準装備された。同クーラーはエンジン停止中にモーター駆動のコンプレッサを運転して通常のエアコンを運転するもの。
また、長さ2000mm、最大幅815mmのポケットコイルスプリング式マットレスを擁するベッドには、休憩時に背もたれ部分の角度を調整する電動リクライニング機能が追加された。
機能面では、ステアリング操作の省力化と操縦安定性の向上をもたらすボルボ独自の電子制御機構「ボルボ・ダイナミック・ステアリング」(VDS)に、パーソナルセッティング機能が追加。任意で同ステアリング制御の強弱が選べるようになった。
また、車間距離保持機能付きのクルーズコントロール(ACC)も全車速対応式に変更されている。
いっぽうパワートレーンは2021年モデルとしての変更はなく、18年モデルの仕様を受け継ぐ。搭載するエンジンは12777ccのD13K型で、460PSと540PSの2種類を設定。
トランスミッションは12段AMTのI- シフトで、従来と同じく540PS車にデュアルクラッチ式のI-シフトも設定されている。