もう1つのボリュームゾーン「平ボディ」の復権へ
ザ・ブロックは三菱ふそう、いすゞ自動車、日野自動車、UDトラックスの後2軸車に対応しているが、近々8×4に対応した仕様も発売する予定だという。では、大型平ボディおよびザ・ブロックの今後の需要をどう見ているのだろうか?
「平ボディの需要はこれからも堅調に推移すると見ています。屋根があると積載できない荷物もあるし、それは今後もなくならないでしょう。重機や機械もの、コンテナを運ぶ平ボディもありますし、建築機材・資材を運ぶトラックもある。
その中でザ・ブロックの立ち位置ですが、これまでは地場のボディメーカーさんのオリジナリティのある平ボディがトレンドでしたが、そのメーカーさんの数も減ってきて、困っているユーザーさんがおられる。
また地場のメーカーさんは生産キャパの問題もあるので、1年待ち、2年待ちなんてことがざらにありましたが、そのタイムロスをなくせば、ユーザーさんは1年早くご商売ができるわけです。
特に今の二代目、三代目のユーザーさんは効率的なビジネスを志向されるわけで、そういったことにも対応しなければいけないと思います。
さらに言えば、これまで民需の平ボディというのはカタログ販売ができなかったわけですが、ザ・ブロックは販社の担当者に特別なスキルがなくてもカタログ販売ができ、さらに民需の特殊平ボディより価格が安くなるので、『これでいいじゃん』というユーザーさんはきっとおられると思うのです。
しかも、カタログ販売ができるということは、地場ではなく、全国のユーザーさんが対象になりますから、潜在的な需要は決して少なくないのではいかと思っています」。
パブコ近畿工場の生産能力は月産60台。これまでの特殊平ボディだけではそこまでいかないので、当面はそれを補う形でザ・ブロックを生産する予定だという。
「今後は8×4の低床車用のザ・ブロックを発売したり全国展開をして、どのくらいの需要があるか見極めたいと思っています。ウイングのメーカー完成車ほど比率が高まればいいのですが、そのためには投資もしなければいけないし、商品力の強化も必要だと思っています。
近畿工場では、特殊平ボディは地場のユーザーさん、ザ・ブロックは全国展開、そんな棲み分けも想定しています。いずれにしてもパブコにとっても期待の大きい新たな事業展開であることは間違いありません」。
小型・中型では平ボディのメーカー完成車あるものの、大型の平ボディでメーカー完成車的な狙いを打ち出したザ・ブロックは、確かに画期的だ。
かつてウイングボディが一世を風靡した際には「時代遅れの平ボディなんて、いずれ駆逐されるだろう」などと観測する向きもあったが、今や堂々の復権である。そこには日本最古参の架装メーカーのしたたかでしなやかな生きざまが見えるようだ。
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