神奈川県相模原市に本社を置く相模ボデーが、三菱ふそうスーパーグレートをベースのとするクレーン付き大型平ボディを製作!! 重量物の運搬/据え付けをメインに行なうユーザーのこだわりが詰まった同車両の特徴とは? 完成直後の車両をレポートした!!
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2022年12月発行「フルロード」第47号より
最大積載量と取り回しにこだわり
相模ボデーは、1901年に静岡県沼津市で創業した「加藤諸車製作所」にルーツを持つ。加藤諸車製作所は1945年に株式会社化され、加藤車体工業(現パブコ)と、そこから分家した大和(だいわ)車体が設立される。その大和車体の修理部門の子会社として、1963年に設立されたのが相模ボデーである。
相模ボデーは当初、修理部門と小型部門を擁していたが、その後業容を拡大し、現在は普通トラック(中〜大型トラック)の架装がメイン。フルオーダーメイドの平ボディ、特にクレーン付きの大型平ボディを得意とし、きめ細かな要望対応とアフターサービスに定評がある。営業エリアは神奈川、東京がメインだが、近年はエリアを拡大中で、全国からの依頼も増えているという。
一方、今回の車両は地元相模原のユーザーからの依頼で製作されたもの。依頼主の勝美商事は、神奈川と東京をメインに、関東全域で精密機械や工作機械など重量物の運搬/据え付けを行なっているが、重量物に特化せず、さまざまな積み荷を幅広く運ぶのが持ち味。
保有するトラックはコンパクトな中型増トン車(車両総重量8〜20トン)がメインだが、今回は最大積載量を重視して車両総重量25トン級の大型車を選択。オーダー内容は「最大積載量を確保しつつ、中型増トン車並の取り回しを実現したい」というもの。相模ボデーへのオーダーは初めてだが、何度も打ち合わせを行ない、納得の一台をつくり上げたという。
工夫を凝らした荷台の構造
ベース車両は三菱ふそうスーパーグレートFS系4軸低床8×4リーフサスシャシー(GVW25トン級/ホイールベース7050mm)の建機運搬仕様で、都内の狭い道路や現場での旋回性を確保するため、相模ボデーでリアオーバーハング部のフレームを約200mmカットしている。
キャブはベッド付きフルキャブの標準ルーフ仕様で、キャブバックに古河ユニック製の3段ブーム2.93トン吊りクレーン(ハイアウトリガー仕様)を搭載。ちなみにハイアウトリガー仕様とは、クレーン用アウトリガーで車体を持ち上げて、重機や産業車両の積み降ろしを行なう装置だ。
シャシーフレームとボディをつなぐサブフレームは強度を確保するため、縦根太の上に横根太を重ねる標準的な仕様を採用。床面地上高をできるだけ抑えるため縦根太は通常より薄いタイプに変更しており、これによりエアサスシャシーに比べて低床化で不利なリーフサスシャシーで床面地上高1080mmを実現する。
荷台は5方開で、アルミ製アオリはサイドが丁番式、リアが脱着式。荷台寸法は内法長7810mm×内法幅2350mmだ。さまざまな形状の積み荷を運ぶためフックは多めで、床枠部の引き出し式フックは横根太の本数分搭載する「全根太仕様」を採用。スタンション用の穴の中にもフックを備える。
鳥居は前後長約400mmの「袋式(収納スペース付き)」を採用。4区画の収納スペースは、荷締機などの道具を取り出しやすくするため、あえてドアを設けない仕様とし、夜間作業や室内作業で重宝するLED作業ランプ、積み荷確認用バックカメラなども備える。
フレームを短くしているためシャシー下回りの収納スペースは少なめだが、右リアオーバーハング部にワンオフ品のステンレスラックを搭載。アルミホイールの採用や燃料タンクのダイエット(200Lのみ)により最大積載量は目標を1トン近く上回る12400kgを確保する。
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