安全性と作業性の問題解決に寄与する4型
花見台自動車が4型を開発した背景には、車載専用型1台積み車両運搬車の運転の難しさが挙げられる。というのも車載専用型はリアオーバーハングがかなり長いので、直角コーナーを曲がる際などに後端部をぶつける事故、いわゆる「ケツ振り事故」が少なくないのだ。
また、規定により荷台中央に多孔を空けたり、後方の見通しが良くないリアゲートを装着する必要があるため、位置決め(荷台スライド量を考慮して停車位置を決める作業)も一般型に比べてむずかしい。
これら3型の問題点を解決するべく開発された4型の開発ポイントは「スライド機構」と「床」の大きく2点。スライド機構については従来の3型の構造がベースとなっているが、構造を見直すことで目標の荷台傾斜角2度を実現している。
一方、床はスロープの役割を持つリアゲートがなくなるので、「乗り込み口をいかに低くするか」が焦点に。目標は60mmだったが、最終的に後端部をスロープ形状にすることで45mmを実現。独自の補助ローラーにより不整地でも安定してスライド可能とした。
次世代のフルフラットタイプ
1台積み車両運搬車の固有規格である「車載専用型」は1972年、花見台自動車が当時まだ荷台傾斜角がキツかったセフテーローダの荷台傾斜角を少しでも緩やかにするため陸運局と交渉し、先述の条件などをつけた上で認可された経緯を持つ。
しかしその後荷台を地面に降ろすことができるフルフラットタイプが登場し、またたく間に普及。もともと荷台傾斜角をゆるくするために設けられた車載専用型の枠組みはすでに役目を終えているとも言え、市場でも「リアオーバーハングが短い一般型がほしい」「リアゲートをなくしたい」という声が増えているという。
こうした声に応えて開発された4型は、安全性や作業性を飛躍的に向上させた次世代の1台積み車両運搬車のモデルケースとして注目。安全性や輸送効率に関心の高い先進的なユーザーにも歓迎されそうだ。
なお4型の荷台仕様はサイドアオリレスが標準で、どこにクルマを積んでもタイヤ固縛可能な「エアラインレール」も標準装備。また、不動車を引っ張り上げる際などに使うウインチ、無線ラジコンなどセフテーローダで同じみの装備も継承。花見台自動車が得意とする特注仕様にも対応する。
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