6月15日~18日の4日間、東京ビッグサイトで開催された「東京国際消防防災展2023」。その会場でモリタはスカニアPキャブベースの2台の消防車をお披露目した。
国内の消防車では珍しいスカニアシャシーともあり、来場者の注目度も高かった同車両。今回登場した21mブーム付多目的消防ポンプ自動車、先端屈折式はしご付自動車の2台を紹介していこう。
文・写真/フルロード編集部
EN規格対応・先端屈折式はしご付自動車「Loikka Aerial Ladder」
今回モリタが出品した1台、先端屈折式はしご付自動車「Loikka Aerial Ladder(ロイカ・エアリアル・ラダー)」は、スカニアP360(Pキャブ/360馬力の由)のダブルキャブをベースに、新開発の最大許容荷重5400N(1N=0.102kg・m)のバスケットを有した梯体を備えた30m級はしご車だ。
スカニアはフルフラットフロアのSシリーズを筆頭に、R、G、P、Lといった順にフロアトンネル段差(エンジントンネル部)が高くなっていく独特なシリーズ展開を行なうメーカー。
今回採用された「P」は近距離の集配輸送や特装系で使われるシャシーで、440mmのフロアトンネル高があり、日本の大型車に近いキャブとなっている。ただ国産の大型ダブルキャブシャシーと比べるとキャブバック長が長いため、室内は広く居住性に優れている。
5400Nのバスケットを擁する梯体は、モリタとその完全子会社となったフィンランドのBRONTO SKYLIFT(ブロントスカイリフト)による共同開発。といっても開発自体はモリタが行ない、EN規格(EUにおける統一規格)等の海外の規格に合わせるためブロント社の協力を得たというのが実際のようだ。
そのバスケットは従来比で+16.7%床面積を拡大するとともに、最大許容荷重は現在の国内モデルの最大4500Nに対し5400Nまで対応。より多くの人を乗せることができるようになっている。また作業半径も30m級はしご車の従来比で4.5m以上広くなり、活動性が大きく向上している。
Loikka Aerial Ladderは、海外展開を視野に開発された車両であるが、ゆくゆくは国内への導入も見据えているとのことだ。