トラックドライバーの皆さんに、相手(一般車)にここ直してほしいっていうトコ、ありますが?」と聞いたことがあります。もちろん、いろいろなご意見がありました。
なかには「いやいや、一般車に望むことはない。私たちはプロなんだから、ただただ彼らに合わせるしかない」なんて達観した意見も……。
そんななか、航空貨物を運んでいる迦月さんの意見が目を引きました。「定速走行のススメ」です。
確かにプロドライバーの皆さんは、長時間同じ速度を維持しながら走っているわけですが、コレって、一般の人が励行しても良いことづくめとか。ここはベテランドライバーの迦月姉さんの話を拝聴してみましょう!
文/航空貨物ドライバー・迦月さん 写真/フルロード編集部
*2020年6月発行トラックマガジン「フルロード」第37号より
プロドライバーに聞いた「一般車の皆さん、ここ直して!」
航空貨物ドライバーの迦月です。道路は、みんながみんなプロのドライバーばかりじゃないので、運転の上手い下手は仕方ないと思いつつ、それでも高望み的に「ここ、なんとかして~!」って思うことがあります。それは高速道路などでは一定の速度で運転してほしいってことです。
スピードを出しすぎない、信号・一時停止を守るとかは、直して欲しい以前の交通ルールの話ですから、免許を持っている人なら誰でもわかっていることだし、本人の自覚もありますよね。
それに比べたらちょっと高度な技術かなと思うんですが、安定した速度で走ること、これを是非やってほしいです。
プロドライバーの方なら、定速走行は誰でも考えることなくできていることですね。ましてや今はデジタコで管理されていることも多いでしょうから、社速が決められていたりすると気分で好き勝手にアクセルを踏めません。
通常走るよりやや遅いと感じる速度で走らなければならないから、常に自分が今何km/hで走っているのか意識しなければなりません。
時間に追われている長距離ドライバーだったりすると、1時間にこのペースで走らないと指定時間までに到着しないといった計算もあるでしょうから、余計自分の走っている速度に注意を向けますね。それが仕事だから、一定の速度で走ることがもう自然にできている。
これがどれほど良い結果をもたらすか。安定した速度で走ることにより燃費は向上し、急加速・急ブレーキが減ることでクルマは傷まず、自分の身体も疲れにくい。周りのクルマにも安心……、良いことづくめでしょう。
でも、ほとんどの一般車はこれができていない。まぁ、仕方ないですね。即、事故るわけでもなければ違反として切符を切られるわけでもない。
私たちだって仕事の効率、あるいは会社側からの強制管理によって培われた、毎日相応の距離を走ることによって得た技術なのですから。当然のことなのかもしれません。
トラックは一般車の不定速走行に翻弄されている!
私は定期の長距離ドライバーではありませんが、それですら長時間高速を走っていると、そんなクルマが多いことに本当にうんざりします。こっちは安定した速度で走りたいのに、速くなったり遅くなったり。
イライラしてくるからさっさとまくっちゃうんだけど、抜かしにかかると途端にスピードを上げ出すクルマ、多すぎでしょ。それならってことで走行車線に戻るとまたスピードが落ちてくる。これの繰り返し。
まぁ私はいいですよ、いま乗っているのは大型じゃないから……。社速も決められていませんし、その気になったらよほど相手が頑張らない限りスピード上げてまくっちゃうことはできます。そして相手が諦めてまた元の速度に戻るくらいに引き離すことも(限度はあるけど)。
でもリミッター付の大型だったらそうはいかず、延々とこのイライラに付き合わなくちゃいけない。
このストレスがたぶん私の中で一番ですね。自分のペースで走れない。公道を走るのだからすべてのクルマがプロじゃないってのは当たり前ですけど、ここまで自分のペースが人によって左右される仕事って、客商売のように人を相手とした職種並みじゃないでしょうか。普段人とあまり接しない仕事にも関わらず。
公道は私たちプロドライバーのものじゃない。私たちがイライラしないようにここを直して、なんて言うつもりはありません。だから声を大にして言いたいけど、「直せ!」じゃなくてこれはお願いなんです。
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