業種別にトラックドライバーのリアルな一日を聞く本編ですが、今回は、専門輸送の雄・セメントバルク車を取り上げています。
早朝・深夜の業務が当たり前、さらにバラセメントの積み込み・荷降ろしには気を遣うことが山ほどあります。
セメント輸送24年の経験が物をいうベテランドライバー・かんちゃんに引き続き話を聞きました。
文・写真/ベテランドライバーかんちゃん
*2013年2月発行トラックマガジン「フルロード」第8号より
早朝・深夜の勤務は「通常運転」
では、バラセメント車の運行状況をご紹介しましょう。まずバラセメント車の朝は早いです。早いというか前日の夜から始まることも多々あります。
私の場合、セメントを引き取りに行く場所は2カ所、留萌SSと苫小牧SSです。留萌SSは「普通ポルトランドセメント」と「高炉セメント」の2種類を引き取りに、苫小牧SSは「普通ポルトランドセメント」「高炉セメント」「早強セメント」の3種類を引き取りに行きます。
留萌SSは朝7時から夕方までの営業で、苫小牧SSは24時間365日営業。留萌SS引き取りが最初ですと、旭川から1時間半くらいなので、5時過ぎには会社を出なければなりません。
自宅から会社まで20分かかり、起きて支度する時間が40分ということで、起床は4時になります。また北海道なので冬になるとアイドリング時間と除雪時間30分が加わります。
苫小牧SS引き取りの場合は24時間積み込みできるので、その日最初の納品工場の開く時間から逆算して起床します。
旭川から苫小牧まで3時間半かかります。積み込みに何も問題なければ20~30分なので、行って帰ってくるのに約7時間半。あとお昼休み1時間と430休憩を計算に入れると、朝7時に工場が開く場合、前日の22時には会社を出発という状況になりますので、起床は前日の21時ですね(笑)
私の場合は前日の仕事が終わり次第、苫小牧に向かいます。そして途中でトラックの中で仮眠して朝の7時に納品工場に着けます。
セメントバルクドライバーの仕事の流れ
では、留萌SS引き取りのケースで、その行程をご紹介しましょう。
まずは会社に行きアルコールチェック&点呼を済ませ、トラックのエンジンをかけてデジタコをON、自分のトラックの運行前点検を終えたら、その日の運行状況を日報にあらかた書きます。そうすることによってその日の運行状況を再確認します。
そして留萌SSに向けて出発です。留萌SSに到着すると、まず先に空車の重量を計測します。私の乗っているセミトレーラタイプは、タンクシャシーからトラクタヘッドまで全部はトラックスケールに乗り切らないので、タンクシャシーとヘッドを切り離してタンクシャシーだけの空車計測をします。
計測し終わったら、またタンクシャシーとトラクタヘッドを繋いで積み込み場所にトラックを移動します。
積み込み作業を簡単に説明すると、タンクシャシーの上に(タンク上部はステップがあり自由に歩けます)マンホールがあり、工場側にはセメントが出てくるシュートがあります。そのシュートとマンホールを布の袋で繋いでセメントを積み込みます。
トレーラ側のマンホールは直径約60cm、工場側のシュートは直径約30cm。的確に合わせて停車するのがむずかしそうに思いますが、縦にはラインが引いてあり、横にも各車両の長さに合わせてラインが引いてありますので、ラインに合わせて停車するとピッタリ合うことになっています。
位置が決まったらトレーラ上部に行くのですが、ここ近年はどこの積込み工場もトラック側からタンクの上に登るのは禁止になっており、積み込み工場の階段からタンクシャシーの上に登り、積み込み準備です。