回転方向のローテーション
それと減り方の種類で俗にいう「段減り」。特にフロントタイヤは凸凹に減っていく傾向が強く、ローテーションを怠ると凸凹が進行して行き、凸の部分は残溝充分でも、凹の部分はベースゴムやベルトのワイヤーが見えそうなくらいまで減ってしまう事もあります。
この段減りもいくつかの種類があり、それが複合的に症状として現れます。最も多い事象は「ヒール&トゥ摩耗」ですね。
これはブロックタイプのトレッドパターンに現れやすく、ブロックが進行方向(回転方向)に対して斜めに摩耗が進行していく現象。特に減速時(制動時)の負荷が高いフロントタイヤに出やすい傾向です。
ブロックが斜めに減っていくメカニズムを、身近な歯ブラシを使って説明しましょう。歯ブラシの毛の部分を指で前後に動かすと、毛の根本は歯ブラシ本体についているため、ブラシは指が移動したほうに変形しますよね? そして、指と接している毛の先端の一部に力がかかります。
タイヤのブロックと路面との接点も、同じように力が集中する部分から摩耗が進行して行きます。
フロントタイヤは駆動していないので平坦な路面を定速で走ってる時は負荷は軽めですが、ブレーキをかけると重心がフロント側へ移動し、タイヤへの荷重が路面との接点であるトレッドのブロックへ伝わります。そしてブロックの変形から負荷が一部に集中し、段減りとなるのです。
この段減りを解消するには回転方向を逆にするためのローテーションを実施します。また、溝が深い(=ブロックの高さがある)新品時はブロックの動きが大きくなるため段減りが進みやすくなります。
このため、新品はリアに装着し、ある程度摩耗が進んでブロックの高さが低くなってきたらフロントへローテーションするケースも稀にあります。ご参考までに。
【画像ギャラリー】段減りに片減り…… タイヤの減り方のクセを画像でチェック!(5枚)画像ギャラリー