■新型ZがもうSUVに?超絶カッコいい「フェアレディX」
日産京都自動車大学校が製作したのが、「フェアレディX」。ベース車両はTZ51型のムラーノ。ここにヘッドライト、テールランプ、ボンネットやフェンダーなど、あらゆる箇所に新型Zの部品を移植している。
プレスラインやチリ合わせには非常に苦労したようだが、ボディ全体の流麗なラインづくりは新型フェアレディZそのもの。パテ盛りや発泡ウレタンでの成形を行っており、板金塗装等の技術の高さがうかがい知れる。
さらに、参考出品車でありながら、車検に適合できるよう、細部にもこだわった。新型Zのテールランプは、ユニットの中にウィンカーランプが埋め込まれている。しかし、ムラーノのハッチはテールランプユニットと一体化してしまうため、ハッチを開けた状態にすると、ハザードランプが見えなくなってしまうのだ。もちろん車検適合もとれない。
そこで、テールランプユニット内のウィンカーランプは生かしたまま、リアバンパー下部にもウィンカーランプを追加した。驚くようなカスタマイズカーながら、法規も意識する作り込みに感服だ。
フロントフェイスもパーツはZのものをつかっている。しかし、ムラーノとZではノーズの長さが合わない。そのためパーツを切り出して短縮し、バンパー部は高さが足りなくなるため、少し長く成形し直した。
フロントバンパーを下に伸ばしたことにより、空いてしまったフロントグリル部分には、R35型GT-Rのフロントグリルを使用している。制作チームの中に無類のGT-R好きがいて、「なんとかGT-Rの部分を入れられないか」という意見を、難しいながらも取り入れたと話してくれた。
さらに高級スポーツSUVの雰囲気を出すため、タイヤを迫力のあるものに変更。タイヤサイズは、なんと345/30R20。このタイヤを収めるため、フロント・リアともに、フェンダー部分の張り出しを左右5cm広げて成形した。
内装にもこだわりは続く。ドアキャッチにはR35型GT-Rのものを採用し、サイドビューがスタイリッシュに仕上がった。ステアリングは新型Zのモノを使い、シートはベージュカラーのレカロシートを入れブラックに変更、インパネにはアルカンターラを使って、ZのSUVとして相応しい高級感も演出しているのだ。
車名をフェアレディ「Z」から「X」に変更したのにも、深い理由があった。クロスオーバーモデルという意味のXと、数学的な意味のX(未知数)という意味が掛け合わされているという。
■ぜひこのまま市販化をという待望論が多かった
セレナもくもくキャンパー、フェアレディXともに、コンセプトから完成度までが非常に高い。どちらも夢のカスタムではあるが、車検適合などを意識しながら細部までこだわり、市販化の可能性を大いに秘めたクルマになっていると思う。
来場者からは、数多く市販化を熱望する声が学生たちに届けられ、制作チームの全員が、本当にうれしそうな顔をしていたのが印象的だった。
企画力はもちろん、その想像力(創造力)を具現化できる技術力の高さも光っている。こうした金の卵が、日本の自動車業界を引っ張っていく存在になってくれることは、とても頼もしいし心強い。
日産さん、学生の夢の詰まったクルマの市販化、期待して待っています。
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