2代目レパード専門店に取材!
いったい今、生産終了から28年が経過した2代目日産レパードに何が起きているのか?
770万円という最高値物件を含む500万円台から700万円台の2代目レパード多数を販売している神奈川県平塚市のF31専門店『カーショップフレンド』の金澤孝士社長に、F31レパードの“現在地”を尋ねた。
――御社は、世にも珍しい「F31レパード専門店」なわけですね?
金澤社長 そうだね。今から30年前の1990年の12月に開業して、1991年に入ってからF31レパードを2台ぐらい仕入れたのがきっかけなんだけど、気がついたら割とすぐにF31専門店になっちゃいましたね(笑)。
――基本的にはどんな人が2代目レパードを買っていかれるんですか?
金澤社長 どんな人って、みなさん普通の人だけど、多くのお客様に共通してるのは『あぶない刑事』が大好きってことかな?
――1980年代後半に、柴田恭兵さんと舘ひろしさんのダブル主演でやってたドラマですね。で、主人公のタカ&ユージが劇中で乗ってたのがF31レパードでしたね!
金澤社長 うん、あのドラマの影響はなんだかんだいってかなりデカいみたいだね。あと、「あぶデカ」うんぬんにかかわらず、みなさん本当にF31というクルマが大好きで、夢中なんだよ。人生の中心に2代目レパードがあって、そのために働いてらっしゃるというか。
――そこまでですか!
金澤社長 うん。ご自宅を新築されるときもさ、まずはF31を停めるためのガレージをいの一番に設計して、その次にやっと人間が暮らす場所の設計を始める、みたいなお客様は多いよ(笑)。
――そういう方は、普段もF31に乗ってらっしゃるんですかね?
金澤社長 いや、ウチのお客様で言うと、年間走行距離はみなさん少なめだね。多い人でも年間2000kmぐらいで、少ない人だと年間500km以下かな?
――なるほど、普段は他のクルマを使って移動して、2代目レパードは「乗りたくなったときだけ乗る。普段は目で愛する」みたいな感じなんですね……って、それってほとんどフェラーリオーナーの生態と同じじゃないですか!
金澤社長 まぁ近いのかもしれないね。
なぜ中古車相場が高騰したのか?
――で、そんな感じで一部で根強い人気がずっと続いているから、相場が上がってるんですね?
金澤社長 そうだね。最近も偶発的に相場が上がっちゃうときがたまにあって、「何があったんだろう?」って思って調べてみると、たいてい、日本のどこかの地方テレビ局で『あぶない刑事』の再放送をやってる(笑)。
――なるほどぉ……。で、御社の場合は100万円台の物件も一部扱ってはいますが、たいていは600万円台以上のプライスになってますね? ……さすがにちょっと高すぎやしませんか?
金澤社長 まぁ見てもらえればすぐにわかると思うけどさ、ウチはF31を単に仕入れて販売するんじゃなく、マニアックな方でも絶対に満足できるレベルまで持っていってるから。
エンジンはフルオーバーホールして、ピストンやピストンリングなんかは新品にしてます。そのうえでエンジンに結晶塗装を施して、新車時の輝きを取り戻しているんですよ。
内装も張り替えたり、オールペンなんかでも、普通の旧車はガラスやモールをマスキングして塗装すると思うんだけど、ウチはガラスやモールをすべて外して、いわゆるドンガラの状態で塗りますから。
だからね……例えば700万円でお売りしても、ほとんど利益なんか出ないんだよ(苦笑)。その後、保険とかを含めて長いお付き合いをしてもらって初めてなんとかなる――みたいな。
――なるほどぉ……。や、しかしですね、御社がフルレストアしているF31レパードが凄いのはわかりましたが、世の中はいろいろですから、「そこまで完璧じゃなくていいから、100万円台ぐらいの予算でほどほどのレパードを買いたい」と思う人もいるじゃないですか? そのあたり、どうなんですか?
金澤社長 うーん、よそのお店さんのことはわからないから、ウチに置いてある100万円台の個体で言うと、それってあくまでも「ベース車両」なんだよね。
そこからどう、いくらぐらいの予算をかけて仕上げていくかを、お客様とじっくり相談しながら決めていくためのベース車両。
そのままの状態では、仮に車検は通るとしても、普通に安心して乗っていただくことは絶対にできないな。
――そんなもんですか?
金澤社長 そんなもんですよ。だって、考えてもみてよ。30年落ちのクルマって、人間でいえば「かなりのおじいさん」ですよ、確実に。
当然ながら皮膚はシワだらけだろうし、目は白内障かもしれないし、足腰も相当弱ってる。
そんなおじいさんを、ちょっとお風呂に入れてマッサージして、着替えさせただけで「じゃ、全力疾走してみてください」って言っても、絶対無理じゃない? すぐにケガして入院しちゃいますよ。
クルマも、それと同じなんですよ。やるんだったら中も外もイチからしっかり直してあげないと、とてもじゃないけど走れたものではないんですよ。
――ううむ……。
金澤社長 まぁとにかく一番いいのは「いろいろなF31を見てみる」ってことじゃないですか? 100万円とか150万円ぐらいの個体を実際にご覧になってみるといいですよ。そうすれば、私が言ってることがわかると思う。
――う~む、ちゃんとしたF31に乗りたいと思ったら、けっこうな大金が必要なんですね……。
金澤社長 そうでもないよ。「気は心」じゃないけどさ、人間としてちゃんとしてる人が、予約を取ったうえでウチに来てくれて、「本当にF31が大好きなんですが、どうすればいいでしょうか?」みたいな相談を真剣にしてくれるなら……、その人がちゃんとしてる人である限り、オレはなんとかするよ。うん……、本当に、なんとかする!
――まぁ確かに今、金澤さんとお話をしていて「この人、カネじゃ動かねえだろうな……」みたいな空気はビンビンに感じてますので(笑)、わかる気はします。ということで興味がある人は、必ず予約を取ったうえで、カーショップフレンドを訪問してみてください。で、最近人気のグレードは?
金澤社長 昔から一番人気は前期型(1986~1988年)のゴールドのツートンだね。後期型(1988~1992年)だと、ダークブルーのツートンが人気だよ。
取材協力/カーショップフレンド
http://www.carshopfriend.com/zaiko/index.html
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主には「あぶデカ世代」に人気だというF31型日産レパードだが、最近は、免許取り立ての18歳男子が買いに来ることもあるという。
購入し、そして維持していくのに「それなりのカネ」がかかることは間違いないだろうが、それでも、今となってはワン・アンド・オンリーな個性が光る2代目レパード。
興味のある人は、本文中で金澤社長が言っていたとおり「いろいろな個体」をまずは見て回ることをおすすめする。そうしているうちに、自ずと「答え」は出てくるはずだ。
■2代目レパードアルティマ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4680×1690×1370mm
●ホイールベース:2615mm
●重量:1460kg
●エンジン:VG30DE型V6DOHC
●排気量:2930cc
●最高出力:185ps/6000rpm
●最大トルク:25.0kgm/4400rpm
●トランスミッション:4速AT
●タイヤサイズ:215/60HR15
●価格:383万7000円
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