軽自動車の主力モデルとなっているのが、ホンダ「N-BOX」、スズキ「スペーシア」、ダイハツ「タント」、日産「ルークス」/三菱「eKスペース」が4強を形成する軽スーパーハイトワゴンだ。
軽自動車枠いっぱいのボディサイズによって広く、利便性の高い室内空間を実現しているのが特徴だ。この軽スーパーハイトワゴンの実力があまりにも強力で、小型車のハイトワゴンは苦戦していた。
しかし、スズキ「ソリオ」が軽スーパーハイトワゴン同様にリアにスライドドアを採用し、「プチバン」という新しいマーケットを開拓。これがスマッシュヒットとなり、トヨタ「ルーミー」を筆頭とした連合軍が市場に参入。あっという間にプチバンはメジャーな存在となった。
やはり軽自動車は4人乗り、ソリオやルーミーといったプチバンは5人乗りという違いがあり、5人乗りのニーズも高いことは2020年11月の新車販売台数でルーミーが9112台で第6位となっていることからも納得できる。
一方、プチバンのパイオニアであるソリオは2020年12月にフルモデルチェンジを行い世代交代したばかり。そこで、今回はモデルチェンジ直後の「先代ソリオ」の中古車事情に迫る。
文/萩原文博
写真/SUZUKI、TOYOTA
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■新型登場も魅力充分! ライバルのマイチェンで動いた中古車価格
3代目となる先代ソリオは2015年8月に登場。標準車の「ソリオ」とスタイリッシュな「ソリオバンディット」の2種類を用意している。軽量・高剛性の新プラットフォームを採用し、室内空間が拡大しているにも関わらず、先代モデル対して100kgの軽量化を実現。その結果、加速&燃費性能を向上させている。
搭載されているパワートレーンは、高い熱効率を実現した1.2L直列4気筒ガソリンエンジンを中心に、1.2LガソリンエンジンにISGと呼ばれるモーター機能付発電機と専用のリチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッドシステム。
さらに、2016年11月にはMGUと呼ばれる駆動用モーターと、AGSというオートシフトギアを組み合わせたスズキ独自のパラレル式ハイブリッドシステムを搭載し、クラストップのJC08モード燃費、32.0km/Lを達成した。その後2018年に予防安全技術「スズキセーフティサポート」の機能充実を図るなどの一部改良を行っている。
先代ソリオの中古車の流通台数は現在約1910台。3カ月前の2020年9月の時点では約1700台だったので増加傾向となっている。
流通している中古車の平均走行距離は、約1万kmだった3カ月前から現在は約1.2万kmへと延びているものの、平均価格は約143万円だった3カ月前から約146万円へと緩やかな値上がり傾向となっている。
平均価格を1年という長いスパンで見てみると、非常に興味深いことが見えてくる。2020年1月時点の先代ソリオの中古車の平均価格は約152万円で、その後3月の需要期で一時的に値上がり傾向を示すが、順調に値落ちが進み2020年8月に当面の底値と言える約141万円を付けた。しかし、9月に入るとジワッと値上がり傾向へと値動きが変わり、現在も進行中となっているのだ。
ここで、疑問に思うのはなぜ8月まで順調に値落ちが進んでいたにも関わらず、9月に値上がりへと変わったのかだ。すでにモデル末期のため、値上がりする材料は見当たらないと思った。
しかし、2020年9月にはライバル車であるトヨタ「ルーミー」をはじめダイハツ「トール」がマイナーチェンジを行ったのである。このタイミングに合わせてソリオは高年式中古車、いわゆる登録済み未使用車を市場に放出したため値上がり傾向となったのだ。
事実、先代ソリオの中古車で2020年式、走行距離500km以下で検索すると実に約464台の中古車がヒットする。先代ソリオの中古車の平均価格の上昇はモデルチェンジによって大量に市場に流入した高年式中古車によって引き起こされていたのだ。これを踏まえて最新の中古車事情を見てみよう。
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