■ポルシェの中古相場は今後どうなる?
となると、お次の疑問は「相場は今後どうなるのか? まだ上がり続けるのか? それとも横ばいや下落に転じるのか?」ということになるわけだが、これについての正確な答えは「わかりません」ということになる。未来の出来事を100%正確に当てることなど、誰にもできないからだ。
しかし理屈で考えるならば、「相場はまだまだ上がり続けるでしょう」というのが“予想”になる。
その理屈はカンタンで、964型911の人気(需要)が低下したり飽和するということは考えにくい。「人気がさらに沸騰!」という状態になるかどうかはわからないが、この手のクラシカルなアナログ名車というのはいつだって一定数の需要がある。
そのため、需要がいきなり低下したり、極端な場合はゼロになったりするとは考えにくいのだ。
そんな需要に対して「供給」は、どうだろうか。
「新車の供給」は当然ながらゼロであり、「今後、ポルシェAGが964型を再生産して再発売する」なんてことが起こる可能性もゼロだろう。
そして「中古車の供給」は、ゼロではないが「徐々に減少していく」というのが当然となる。まぁどこかの国の巨大な納屋で1000台ぐらいのデッドストックが発見される可能性も決してゼロではないが、まぁ実質的には限りなくゼロに近い。
このように「まだまだ続く需要」に「しかし供給が増えることはない」という事実をかけ合わせれば、答えは「相場上昇」にしかならないのである。その上昇ペースがどのぐらいのものになるかは、もちろん筆者にはわからないが。
そして「どこまで上がるか?」というのもわからないわけだが、仮に素の低走行カレラ2が将来的に「3000万円級」になったとしても、筆者は驚かない。
2015年の4月には「今や500万、600万円は当たり前!」などとかかわいいことを言って驚いていた筆者だったが、その後の7年間でまさかの1000万円上昇を経験した今となっては、何があっても驚きはしないだろう。
「誰がそんな金出してまで964を買うんだよwww」と笑う人もいるだろうが、世の中、お金というのはあるところにはいくらでもあるものだ。
■タイプ964に買う価値はあるのか?
そして最後の問題として「上がってしまった今も、それを買う価値はあるのか?」という点について考えてみたい。
結論から申し上げると、「はい。もちろん買う価値はあります」というのが答えになる。
良質なポルシェ911タイプ964を買うということは、ザ・ビートルズやジミ・ヘンドリックスなどが、つまりは「本当であればもう二度と絶対に生演奏は聴くことができない、死んでしまった偉大な音楽家」がなぜか生き返り、自分の目の前でミニライブをやってくれるようなものだ。
あり得ないことであり、音楽の場合はCDやレコード、配信、動画配信などでしか、過去の偉大な音楽家に触れることはできない。
しかしクルマであれば――もちろん現役時代よりも多少くたびれてはいるだろうが――普通に生きている姿を眺めることができ、そして眺めるだけでなく、それを自分で“運転”することができる。
「その経験がもたらす価値を1500万円で買えるなら安いものだ」と考える人は、世の中にけっこうたくさんいるものだ。
そしてゲスい話ではあるが投資または投機の対象として見た場合も、空冷ポルシェ911の良質個体というのは「大きな利回りが期待できる優良な金融商品」となるのである。
金銭的に「無理」をするのは人生の破滅に直結するため、その場合は決しておすすめしない。
だが、もしもあなたが「……1500万円ぐらいならまぁ普通に払えるけど?」という人であるならば――1500万円級の964型ポルシェ911カレラ2(5MT)は、どうしたって「おすすめの一台」という結論になってしまうのだ。
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