ラージサイズミニバンでは今、アルファードが人気の絶頂にある。しかし、トヨタ全チャネル併売化前に遡ると、人気が高かったのは兄弟車のヴェルファイアの方だ。
ヴェルファイアは、マイナーチェンジや一部改良の方向性がユーザーの好みと合わず、アルファードに大きく人気の溝を開けられる格好となった。しかし、人気のあったヴェルファイアの方向性にアルファードが寄せてきたという見方もあり、ヴェルファイアが現在でも魅力的なクルマであることに変わりはない。
新車販売実績ではアルファードに追い越されてしまったヴェルファイアだが、中古車市場ではどうなっているのだろうか。人気の落ちたヴェルファイアがアルファードよりも買いやすくなっているなら、その選択もまた良いだろう。
本稿では、ヴェルファイアの認定中古車事情を掘り下げていきたい。
文/佐々木 亘、写真/ベストカー編集部、TOYOTA
■新車ではモノグレードのクルマになってしまったヴェルファイア
初代ヴェルファイアが登場したのは2008年のこと。ネッツ店の専売車種だったが、押しの強いエクステリアデザインが強いインパクトを残し、大ヒットモデルとなる。2015年には初のフルモデルチェンジを行い、エクステリアのアクの強さが高められた。
アクの強さが弱点になり、フルモデルチェンジ以降、少しずつ人気を落としていったヴェルファイア。2020年5月の全車種併売化以降は全店扱いとなったアルファードに、販売台数で大差をつけられるまでになった。
ヴェルファイアという車名は消えていないが、現在カタログモデルで新車販売されているヴェルファイアはGOLDEN EYES IIIの1グレードのみとなっている。かつてはミニバンの王となっていたヴェルファイアだが、今はアルファードの子分のような位置に成り下がってしまった。
■人気が下がったから買いやすい? ヴェルファイアとアルファードの中古価格相場
アルファード・ヴェルファイア両者の認定中古車での価格帯は、80万円~800万円と幅が広い。本記事の執筆時点(2022年11月初旬)では、全国在庫でアルファードが124台、ヴェルファイアが97台掲載されていた。
ただし、アルファードの大半が販売地域を限定したものであり、ヴェルファイアも4分の3が地域限定されたものだ。
販売価格帯は、両者に違いがほとんど無い。しかし、価格相場の分布を見ると違いは明らかだ。
現行型に限れば、アルファードは2~3年落ちの比較的高年式な個体が多いのに対し、ヴェルファイアには高年式車がほとんどない。目立つのは4~5年落ちの個体だ。なお、新規登録から7年以上を経過したモデルでは、両者の個体数の違いは目立たなくなってくる。
中古車がゆえに、イコールコンディションで価格を比較するのは難しいが、おおよそ同じ状態の現行型で比較すると、ヴェルファイアの方が5%~10%程度、販売価格が低いものが多かった。
5年落ちの走行距離4万キロ未満の個体で見れば、アルファードがSCパッケージを選ぶ価格で、ヴェルファイアでは特別仕様車のゴールデンアイズが買える。同じ予算で考えるなら、ヴェルファイアの方が若干程度の良いクルマが購入できるだろう。
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