■絶景の見どころは「夕日」
今回乗車したのは八幡浜を16時14分に出発する「道後編」。終着の松山着は18時17分だ。「道後編」は4つのコースの中でも特に人気のコースで、その理由はなんといっても「夕日」!
季節にもよるが、伊予灘沿いを走る区間でちょうど夕日の時間帯を迎え、車内から伊予灘に沈む夕日が楽しめるコースになっている。始発となる八幡浜駅のホームには港町らしく、「大漁旗」が掲げられ乗車するゲストをお出迎え。僕の席は1号車「茜の章」のカウンター席。海側を向いており、一人利用でもゆったりと列車を楽しめる席だ。
駅員さんたちのお見送りをプロローグに、「伊予灘ものがたり」道後編の旅ものがたりがスタート! 列車自体は「特急」扱いだが、実際の速度はかなりゆったり。ビュースポットでは止まってしまいそうな速度まで徐行運転のサービスをしてくれる。
さて、この列車。特色は多いものの、乗車した人が決まって口にするのが「沿線のお出迎え」への感動だ。実際、沿線至る所から地元の方々が列車に手を振ってくれる。途中の駅はもちろん、道路に空き地、自宅の2階、商店など、窓から目が離せないほどにひたすら列車に手を振ってくれ、この光景にはだれもが感動するはず。ぜひ車内からも全力で手を振りかえそう!
しばらくすると事前予約の車内食事メニューが自席に届けられる。この日の「道後編」で用意されているのは「アフタヌーンティー 伊予灘の菓織箱(かおりばこ)」(¥3,500)だ。松山市に店を構える「Petit Paris~パンのある暮らし~」がコーディネートしたメニューで、この列車のためにブレンドされたオリジナルティの香りが優雅な列車旅を演出してくれる。
車内では、予約なしでも楽しめる飲食メニューもバラエティー豊かに用意されており、この列車限定のカクテルなどもラインナップ。気軽に楽しむならこちらの利用もおすすめだ。
■あっという間にエンディング…
伊予長浜駅を過ぎるといよいよ列車は伊予灘沿いへ!
この日は快晴で傾きかけた太陽がまぶしい。途中、下灘駅ではしばしの途中下車。目の前に海が広がるロケーションが魅力の下灘駅は、JR四国の駅の中でも特に有名な無人駅の一つ。多くの観光客がこの日も駅に集まっていた。
下灘駅で下車見学を済ませ、自席に戻ると食事とドリンクに紙製の被(おお)いが。「下車観光時など、お客さまが席を離れた際に行っています」とのことで、車内に乗客がいなくなった合間に、アテンダントさんが車内を回り、被いをしておいてくれたそう。こうしたちょっとした心配りがとってもうれしい。
これからの暖かいシーズンは下灘駅を過ぎたあたりからが夕日タイム。列車はもちろん徐行運転。しっかりと存分にその絶景を楽しませてくれる。
道後編の乗車時間は約2時間だが、沿線のお出迎えにアフタヌーンティー、絶景を楽しんでいると本当にあっという間。余韻にひたっているとリズミカルなテーマソングと共に、伊予灘ものがたりの旅はエンディングを向かえた。
「伊予灘ものがたり」の空席状況や詳しい情報は公式サイトから。リニューアル直後ということもあり、乗車を希望する場合は旅程が決まったらすぐにチケットを手配したい。
4つのコースにそれぞれ異なる食事メニュー、そして沿線の方々の笑顔。「伊予灘ものがたり」のおもてなしは、愛媛の気候のようにきっと、あなたの心をポカポカさせてくれるはず!
【画像ギャラリー】美味しそう! 快適そう!! こんな景色見たい!!!! 鉄道旅の魅力がすべてつまった「伊予灘ものがたり」の画像集(17枚)画像ギャラリー
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