当記事編集担当はなにを隠そう、1990年代のクルマが大好きだ。かつてはR32のGT-Rにも乗っていたし、シビックタイプR(EK9)にも乗ったことがある。
「あの頃」のクルマは軽くて、コンパクトで、電子制御も少なくてクルマを運転している実感が強いのもたしか。
でも、いつまでも絶版車のことばかり悶々と考えていても、自分が歳を重ねていくのと同じでクルマも若返りはしない。
そこで、今回はついつい「あの頃はよかったなぁ」と口走ってしまうこだわり派に向けた、乗って”たのしい”現行車を3台選出しました。
文:大音安弘/写真:ベストカー編集部
■乗らず嫌いは損をする。「あの頃」をしのぐ楽しさは健在だ
2000年に施行された「平成12年排ガス規制」をきっかけに、人気国産スポーツカーの多くが消滅。その後のミニバンやエコカーブームと続き、今やスペシャルティカーのジャンルさえ、SUVが担うようになり、クルマ好きには寂しい時代となった。
その影響から、近年、個性の強い懐かしい国産スポーツカーに脚光が集まっている。確かに、あの頃、憧れたクルマに乗ることも楽しみのひとつだ。
しかし、頭ごなしに今のクルマがつまらないと決めつけていないだろうか。現代でも、ちょっと頑張れば買える250万円という予算でも面白いクルマはたくさんあるのだ。
■2シーターのMRとFRを250万円で買える!!
【マツダ・ロードスターS 6MT 249万4800円】
日本を代表するスポーツカー、ロードスターもギリギリ狙える一台。最もベーシックなSのみが予算内となるが、これが良い。
快適な装備と引き換えに手に出来るのは、軽量なロードスターでも唯一1トンを切る990kgのボディ。
これをたった131psの1.5L自然吸気エンジンを6速MTで操る楽しさは、かつてユーノスが目指したライトウェイトスポーツカーの世界観を色濃く映す。
ロードスターの重心は、フロントシートのすぐ後ろにあるのだが、シンプルな“S”では、それが最も分かりやすく、クルマをコントロールするということを強く意識させる。
しかも旧車に乗っている人ほど、“S”がベストと答えるから面白い。それだけクルマの基本に忠実で、ナチュラルな走りが楽しめるのだ。
派手な装備はないが、標準でマニュアルエアコン、USB接続可能なラジオシステム、LEDヘッドライト、キーレスエントリーだって付いてくる。
そして、何より片手で開閉できるソフトトップから得られる解放感は、プライスレス。安価なベースグレードと見るのではなく、最も「ピュア」なのが“S”だ。和製エリーゼのような存在だ。
【ホンダS660 198万円~218万円】
軽自動車かぁと思った人は、そのことは忘れよう。これは軽自動車なのではなく、軽のレギュレーションだから実現したピュアコンパクトスポーツなのだ。
ラゲッジスペースは、キャビン内の小物入れ程度、もう実用性って何?くらいの割切りよう。デートカーとしては失格かもしれない。
ただ乗り込んでしまえば、そんなことはどうでもよくなる。運転を楽しむために最適化されたコクピット。ペダルレイアウトやシフトフィールも文句なし。
背後では、660㏄直列3気筒ターボエンジンが、ホントに実用エンジンの応用?と思わせる元気で心地よいサウンドを奏でてくれる。
何より公道でもエンジンを全開にできる上、ターボだからそれなりに勢いもあり、満足感が高い。よく冗談で“日本のニュル”とも呼ばれるトリッキーな首都高速を法定速度で走って一番楽しいクルマだと思う。
一度乗ったら、降りたくなくなるのが、S660。一人なら、助手席は大きなラゲッジとなる。
またその愛らしいスタイルは女子受けも良いはずで、小ささに悲観することはない。郊外にでたら、ソフトトップを外せば、良いリフレッシュにもなる。
タルガトップスタイルなので開けても風の巻き込みを抑えられる。意外と重宝するのが、背面にあるパワーリヤウィンドウ。
エンジン音を楽しむにも、空気の入れ替えにも活躍してくれる。世界広しといえど、この価格で本格ミッドシップスポーツが買えるのは、日本だけ!その点でもS660は偉大なのだ。
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