「キング・オブ・ミニバン」というキャッチフレーズで登場したのは日産 エルグランドだったが、今やその言葉はトヨタ アルファード/ヴェルファイアに奪われてしまっている。
アルファード/ヴェルファイアが3代目にフルモデルチェンジしたのが2015年1月(2017年12月にマイナーチェンジ)。ライバルはエルグランドと三菱 D:5くらいしか見当たらないのだが、それでもここまで4年、ひとり勝ちが続くのには何らかの理由があるはず。その理由とは何なのか分析する。
さらに、ここまでに入ってきているアルファード/ヴェルファイアの、マイナーチェンジ、フルモデルチェンジに関する最新スクープ情報も入手したのでお伝えしたいと思う。
文/遠藤徹
写真/TOYOTA、編集部
【画像ギャラリー】ひとり勝ち中のアルファード/ヴェルファイア、その顔つきの変化を追う
■ライバルを圧倒する高い商品力
アルファード/ヴェルファイアひとり価値の理由は、マーケットニーズにマッチした商品戦略を頻繁に展開していることがまず上げられる。
この種のモデルは富裕層であるから、ニーズは見た目の立派さ、作りのよさ、使い勝手のよさ、走行性の高さなどであるが、これらのどれをとってもライバル車と比べものにならないくらい優れているといえる。
そしてこれらの要因を満たすために、絶えず商品力に磨きをかけ進化させている。ライバル車といわれるエルグランドは、商品力で圧倒的にアルファード/ヴェルファイアに大差をつけられており、モデルチェンジなどで磨きをかける努力をしていないから、ますます差がつくいっぽうなのである。
それでも、デリカD:5は現時点でエルグランドの3倍も売れ、健闘しているといえる。これは2019年2月のビッグマイナーチェンジで大幅改良し、クリーンディーゼルを売りに走行性を大幅に向上させたことが好調の要因として上げられる。
またミニバンのカテゴリでありながらしたてSUV志向、4WDメインなどでアルファード/ヴェルファイアにない魅力と個性を備えているのも人気の高さを後押ししているといえるだろう。
トヨタの全国約5000店舗の強力な販売サービスネットワークも好調な販売の理由でもある。商品力に磨きをかける努力な絶えず行っており、毎年のようにマイナーチェンジ、一部改良を実施し進化させている。
車両本体価格だとアルファード/ヴェルファイアが340~750万円なのに対してエルグランドは330~595万円、デリカD:5は250~420万円であるから、10~150万円もファード/ヴェルファイアのほうが高い。
ユーザーは富裕層が圧倒的に多いから、価格よりも商品力を重視しているためといえる。かつては「いつかはクラウン」と考えているユーザーは、今やクラウンから離れ「いつかはアルファード/ヴェルファイア」になっているのである。
リセールバリューの高さも、アルファード/ヴェルファイアの魅力のひとつといえる。両姉妹車は8~10年乗り10万km走行しても、下取りに出す時50万円以上と値が付くがエルグランドやデリカD:5はゼロになってしまうケースが多い。
これを考えると両姉妹車を購入したほうが得といった側面もある。両姉妹車の中古車価格が高いのも影響をしている。人気の高い車種を愛用したほうが、ステータス性が高く、満足できる。
最近は購入する際に、エルグランド、オデッセイ、デリカD:5を競合させても、アルファード/ヴェルファイアは相手にしないといった商談風景がしばしば見られたりする。それだけ商品力に自信を持ち始めているといえる。
こうした状況はトヨタにとってあまりよくないと思うのだが。アルファード/ヴェルファイアの両姉妹間は、最近になって変化が見られる。これまで一貫してヴェルファイアが販売台数でリードしていたのが、最近になって逆転しており、アルファードがリードしている。
9月の登録実績では、アルファードが6523台に対して、ヴェルファイアは3478台と、3045台も差がついている。これは「2017年12月のマイナーチェンジで、アルファードが押し出しのいいフロントマスクに仕立てたのに対して、ヴェルファイアはおとなしめにしたので、この見栄えのよさの差が出ている」(首都圏トヨタ系販売店筋)とコメントしている。
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