トヨタ自動車が支援するアメリカのベンチャー企業Joby Aviation (ジョビーアビエーション)の電動垂直離着陸機(eVTOL・イーブイトール)が富士山の麓を初飛行。東京都心から富士山のふもとまでなんと25分で移動できる空飛ぶクルマにみんなが乗れる日はそう遠くない
文/写真:ベストカーWeb編集部
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トヨタは2019年に空飛ぶクルマを開発するアメリカのベンチャー企業、Joby Aviation(以下Joby)と協業を開始。元町工場で部品を作るなどさまざまな点でサポートし、これまでに9億ドル近くを出資している。
eVTOLは電動垂直離着陸機でわかりやすく言えば来年の大阪万博で注目される、別名空飛ぶクルマ。「すべての人に移動の自由を」という理念を掲げるトヨタはJobyのジョーベン・ビバートCEOの「新しいモビリティで社会を変えたい」という想いに共感し、日本での商用飛行実現を後押しする。
Jobyへの出資を決断したモリゾウさんはジョーベン・ビバート氏を「『モビリティ・フォー・オール』という考え方で我々と一致し、何より夢をかなえようと挑戦する姿勢が素晴らしい」と高く評価する。
ビバート氏は子どもの頃学校から家までが遠く、道も悪かったので「空を飛んで行けたらどんなにいいだろう」と何度も思ったという。その夢を追い続け、実現させようとしているのだ。さらに将来的にはTAXIと同じくらいの料金体系にしたいと語り、本気でモビリティで社会や暮らしを変えようと考えている。
日本にやってきたJobyの機体は全長6.4m、翼長11.9mの大きさで、6つのプロペラを持ち2つずつのモーターを駆動する電動垂直離着陸機で、パイロットのほかに4人の乗客が乗れ、航続距離は160㎞、最高速320㎞/hだ。ちなみに東京都心から富士山のふもと、トヨタの東富士研究所までは約25分で移動できるという。クルマなら渋滞がなくても2時間以上かかってしまう。
電動のため、ヘリコプターに比べると圧倒的に振動や騒音が小さいうえ、臭いもないから快適だという。実際にシートに座って関係者に話を聞くと、シートはセパレートになっていて190㎝近い体格でもゆったりくつろげると教えてくれた。なおバッテリーは主翼内にあり、ひと晩かけてフル充電するという。
ヘリコプターに比べるとメンテナンス面や運用コスト面でも有利だというから、インフラと法整備が進むことが条件ながら、一気に普及が進むことも考えられる。ちなみに2025年からUAEドバイで商用運行が始まるという。
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トヨタグループの創始者、豊田佐吉は1925年「飛行機に載せ、太平洋をひとっとび」できる蓄電池の発明を呼びかけ、当時のお金で100万円の懸賞金を出した。
佐吉の長男、トヨタ自動車の創業者豊田喜一郎は1936年芝浦研究所で航空機の研究を始め、まだ形もなかったヘリコプターの開発を目指し、1943年には2人乗りのヘリコプターの試作機が完成させている。
豊田喜一郎の長男、豊田章一郎は1986年に飛行機開発の研究グループを発足させ、1992年にはエアロ事業企画室を創設する。さらに翌年には世界初の電子制御エアロ・ピストン・エンジンの開発をアメリカのHS社と共同で進めた。
そして豊田章一郎の長男、モリゾウさん(豊田章男)は、空への夢を引き継ぐようにJobyと空のモビリティ開発を進めている。
今回はバッテリーということだが、燃料電池を動力にすることで、より大きな航続距離や推進力が得られるということで、近い将来JobyのFC版が登場することもありそうだ。かねてから航空機に燃料電池を搭載することが話題になっているが、トヨタの燃料電池の技術を使えば、難しいことではないのかもしれない。
大きく夢が広がるJobyだが、懸念されるのが法律とインフラの整備。監督官庁が複雑に入り組んでいる日本でJobyを普及させるにはハードルが小さくはない。もし、官庁のほうでも、今回のような挑戦に共感持ち、一緒になって未来を作っていくような形が出来上がれば、いろいろなところで挑戦が生まれるはずで、日本の未来は明るくなると思う。
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