レクサスのフラッグシップモデルLSが、ジャーマンスリーのフラッグシップモデルと戦えるようになったきっかけは、2013年のマイナーチェンジモデルにある。この時なぜLSはフルモデルチェンジではなくマイナーチェンジを選んだのか。開発エンジニアやデザイナーの思想、そしてこだわりを探りながら、マイナーチェンジに込められた想いを振り返っていく。
文:佐々木 亘/画像:ベストカーweb編集部
【画像ギャラリー】今もなお引き継がれるレクサスの真髄はここから受け継がれていたんだなぁ(19枚)画像ギャラリーLSにレクサスのブランドイメージを変える役割を与えられた
2006年に登場した40系LSは、競合車がフルモデルチェンジを進める中で2009年のマイナーチェンジ1回だけにとどまっていた。
2012年当時、メルセデスSクラスが年末にフルモデルチェンジを予定しており、BMW7シリーズ、アウディA8の中で最古参となることが確定していたのだ。商品力を向上し、売れるクルマにすることが急務であった。
しかしながら当時のLSチーフエンジニアであった渡辺秀樹氏は、40系LSに対して「まだ十分なポテンシャルがあり、伸ばすべき可能性を存分に秘めていることが明らかだった」と語っている。変化するライバルに対し、LSがたどり着いたのは「熟成」と「革新」だった。
積み重ねてきた研究による知見をすべて織り込み、一つ一つの技術を究極の域に達するまで磨き上げること、そして時代を先取りする存在になり、LSをより深く愛してもらえるクルマに仕上げることが、開発の狙いとなる。
当時、輸入車ユーザーから見たLSには次のようなイメージがあった。「社用車のイメージが強く個人で運転するクルマのイメージが無い」「プライベートで乗りたいとは思わない」「安らぎはあるかもしれないが刺激が無い、クルマそのものを楽しむ車ではない」というものだ。
エモーショナルなイメージが不足しているという声が多く、これはレクサスのブランドイメージにも大きく影響していた。
そこで2013年モデルには、若々しく色気のある・走りの良いクルマになる使命が与えられている。同時に堅苦しい年配の乗るクルマというイメージを、センスの良い・刺激の溢れるクルマに変える役割も必要だった。
【画像ギャラリー】今もなお引き継がれるレクサスの真髄はここから受け継がれていたんだなぁ(19枚)画像ギャラリー本物だけがもつオーラへの徹底したこだわり
フラッグシップモデルを個人が所有する場合、そのクルマがいかに本物を意識しているかは重要なポイントだ。本物にしか宿らない魂があり、オーラがある。それが所有するオーナーの喜びや充足感につながるのだ。
そこで2013年モデルのLSには、各所に本物を徹底して使用した。
インパネには、あたかも無垢の一枚板が中にあり、それを本革のパッドが上下から挟み込むような造形を作り上げる。
オーナメントには本木目を使い、インパネやシフトレバー、スマートキーのシルバー加飾には本アルミを使った。シフトレバーを握り込んだ時に、金属の冷たさを感じるのが、本アルミの証だ。
また、美しく時を刻むアナログ時計にはGPS付きの電波時計を採用。L-Selectこだわりの本木目オーナメントには、グランドピアノと同じカバ材やギターのサウンドホール周辺に装飾される矢羽根貼りを用意した。
加えて希少木材の白杢・玉杢も準備され、工芸品の領域にある編杢や最新技術のレザーカットを施したウォルナットなどを選択できる。
本物にこだわった結果、車室内はライバル車の追随を許さない風格を醸し出している。
【画像ギャラリー】今もなお引き継がれるレクサスの真髄はここから受け継がれていたんだなぁ(19枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方この40系LSは現在でも、素材、構造、装備、先進安全装備、乗客に対してのホスピタリティ性、Lフィネスに基づいたデザイン性、どれをとってもポテンシャルが高く、これ程ラグジュアリーカーとして磨きをかけた車は、少なくとも日本車からは出ないかもしれないですね!!!
これからも、本物の物作りにこだわる人には、愛され続ける日本車の一つだと思います。