今後、自動車産業の中で重要な位置を担っていくであろうBEV。しかしBEVに関するさまざまな謎……とくに金銭的な疑問が解決しないと購入の検討すらできない。そこで、「BEV」に関するおカネ関係のウワサの真偽を検証する!!
※本稿は2025年1月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:日産、ホンダ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年2月10日号
検証その1:BEVの下取りは安い!?
BEVは下取額が安いという話を聞く。ここでは残価設定ローンの残価率(新車価格に占める残価の割合)が参考になる。
残価設定ローンでは、返済期間を終えて返却された車両が中古車になるため、中古車価格の安い車種は残価率も下がる。下取額も同様。日産車の5年後の残価率を見ると、ノートは37%だが、サクラは27%、リーフは11%と低い。
国が交付する補助金額を引いた実質価格で計算しても、サクラは34%、リーフは14%に留まる。そうなるとBEVは下取額が安くなる。
●「BEVの下取りは安い」は……ホント!!
【画像ギャラリー】航続距離? 運動性? まず聞きたいのはソコじゃないんだ!! おカネにまつわるBEVのウソ? ホント?(16枚)画像ギャラリー検証その2:BEVは任意保険料が高い!?
任意保険料は、車種のリスク(保険金支出が増えること)に基づく型式別料率クラスを使って算出する。料率クラスが高まるほどリスクも増える。
そこで2025年1月から適用される料率クラスを見ると、対人賠償はノートが7でリーフは10、対物賠償は両車とも10、人身傷害はノートが9でリーフは11、車両保険は両車とも11だ。
リーフが高めではあるが、車両保険に差はない。従って一概に「BEVは任意保険料が高い」とはいえない。
ただし現時点でBEVは高価格車が中心だから、車両保険の支払い限度額も上昇する。その結果、任意保険料が高いと受け取られることはあるだろう。
●「BEVは任意保険料が高い」は……ウソ!!
【画像ギャラリー】航続距離? 運動性? まず聞きたいのはソコじゃないんだ!! おカネにまつわるBEVのウソ? ホント?(16枚)画像ギャラリー検証その3:BEVは残価設定ローンに向いていない!?
残価設定ローンは、契約時に数年後の残価(残存価値)を設定して、残価を除いた金額を分割返済する。BEVは残価率が低いため、残価を除いた返済額が増えてしまう。
例えばリーフX・Vセレクション(431万8600円)を5年間の残価設定ローンで契約すると、国から交付される補助金の85万円を頭金で充当しても、月々の返済額は均等払いで5万4800円だ。
セレナe-POWERルキシオン(484万7700円)は、リーフX・Vセレクションに比べて価格が50万円以上高く、補助金もないから頭金も充当していないが、月々の返済額は5万2400円で少し安い。BEVは残価設定ローンの返済額が増えるから利用する価値は低い。
●「BEVは残価設定ローンに向いていない」は……ホント!!
検証その4:日本の場合、中古のBEVは買わないほうがいい!?
残価率の低さを逆に捉えると、中古車価格は安くなる。2019年式リーフは現行型だが、40kWhを搭載するGの中古車価格は140万~150万円だ。
その一方で2019年式セレナe-POWERハイウェイスターVは先代型で、新車価格はリーフGよりも安いが、中古車価格は240万~250万円に達する。
BEVの中古車は割安だが、駆動用電池の劣化もあるから推奨できない。買わないほうが無難だ。
●「日本の場合、中古のBEVは買わないほうがいい」は……ホント!!
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