ヘルプネット。聞きなれない言葉かも知れないが、着々とインフラを整え、今や200万台の車両がこのサービスを利用できるようになっている。万が一の事故やトラブルに遭遇した時、あなたを守るサービスがヘルプネットだ。
文:ベストカー編集部/写真:平野 学【PR】
初出:『ベストカー』 2020年2月26日号
いざというときに頼りになるヘルプネットとは?
HELPNETサービスの特長
●エアバッグの展開と連動し自動的に通報
●運転手の応答がない場合は救急車の出動を要請
●衝撃度合いで重傷確率を出しドクターヘリを要請
●軽度の事故では担当者と会話が可能
●あおり運転や急病にも利用可能
ヘルプネットは2000年から提供されている非常時の緊急通報サービスだ。官民連携で設計したインフラの整備を進め、全国のすべての警察本部と大半の消防本部(人口カバー率約9割)の指令台とのデータ接続が可能になっている。
エアバッグが開くような重大な事故ではヘルプネットセンターに自動通報されるエアバッグ連動タイプのほか、軽度の事故や急病、あおり運転や昨年秋の水害など自然災害に遭った時などでもルーフの専用ボタンあるいはナビ画面のヘルプネットボタンを押すことでヘルプネットセンターを介しながら警察や消防と直接会話できるため、安心だ。
ヘルプネットは、多くの車種に搭載され、標準装備も進んでいる。そのサービスはトヨタのTコネクトやホンダのインターナビ、マツダコネクト、日産コネクトサービスといったコネクティッドサービスに含まれている。
特に自動通報された事故でドライバーからの応答がなかったケースの約7割が、位置情報や車両情報、車両のセンサー情報によって救急車で搬送されているというデータがある。応答もできないような命に関わるケースでヘルプネットが役立っていることを示している。
また、エアバッグ展開した事故車両から位置情報のほか衝突の方向や衝突の激しさ、シートベルトの着用有無といった情報がヘルプネットに送られ、これらを基に計算した死亡重症確率データをドクターヘリ基地病院に送信する運用を2018年4月から開始し、早期のドクターへリ派遣に貢献している。
エアバッグや自動ブレーキのように安心、安全装置のスタンダードにヘルプネットがなる日はそう遠くない。
東京にあるヘルプネットオペレーションセンターで通報を受け、現場に最寄りの警察本部と消防本部の指令台に位置情報や車両情報、車両のセンサー情報をデータ送信。
一般的な電話による通報に比べ、圧倒的に迅速かつ正確な情報が伝達され、命を救い、ケガの程度を軽くする。
代表取締役社長倉田潤氏に普及に向けた課題を聞く
—— ヘルプネット設立の趣旨から教えてください。
倉田(以下敬称略)株式会社日本緊急通報サービスは1999年ITS(高度道路交通システム)9分野のうちの「緊急車両の運行支援」をベースに人命をいかに救うか? という点に向き合いながらサービスを行う会社として設立されました。
—— 2019年には200万台を超える車両に対応されたとお聞きしました。
倉田 20周年という節目で200万台という大台を達成できたことは励みになりました。ただ、設立当初は警察や消防に説明に伺っても、中身がわからず、理解が進まなかったこともありました。
その間もインフラ整備に努力した甲斐あって、2018年9月に150万台を達成し、1年足らずで200万台に到達できました。
—— さまざまな事故対応のサービスがあるなかで、車両からの緊急通報の音声とデータを日本全国の消防本部と警察本部の指令台に直接送ることができるのはヘルプネットだけとお聞きしました。
倉田 エアバッグが開いた時点で自動的にヘルプネットオペレーションセンターに通報されます。
ドライバーさんが意識を失うなどセンターからの呼びかけに応答できない場合は、位置情報や車両情報などに基づいて救急車の出動を要請する仕組みでデータはそのまま全国の警察本部や消防本部の指令台に送られるので迅速で正確な伝達ができます。
そうしたインフラを持つのはヘルプネットだけです。
—— さらなる普及に必要なことは何でしょうか?
倉田 EUでは2018年4月以降に発売された新型車に緊急通報装置の装着が義務づけられました。日本でも本来、全てのクルマに装着されるべきシステムです。
官の施策と民の努力が相まってオールジャパンで普及を進めることが重要だと思っています。
さらに多くの人にヘルプネットを知っていただき、クルマ選びのメルクマールにしてもらうとともに、より多くのクルマが利用できるよう、「後付け」による緊急通報への対応を含め、あらゆるセクターとの連携を図って参ります。
整備してきた質の高いインフラを多くのクルマに利用してもらい、安心を届けたいと倉田社長は語る。
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