2代目デミオはマツダの女性人気を復活させた救世主だった!!

2代目デミオはマツダの女性人気を復活させた救世主だった!!

 苦境のマツダを救った名車といえば初代デミオ。多チャンネル戦略の失敗で経営危機に陥ったマツダを救った孝行モデルだ。デミオは初代モデルの評価が高いが、続く2代目もかなり良いクルマだった。今回は、初代路線の延長線上で、クルマとしての完成度をより高めた、2代目デミオ(DY系)を振り返っていこう。

文:佐々木 亘/画像:マツダ

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フィットよりも大きくて使い勝手の良いヤツ

2代目デミオは初登場の時点で「Casual」「Cozy」「SPORT」のグレードが存在した。画像はCasual
2代目デミオは初登場の時点で「Casual」「Cozy」「SPORT」のグレードが存在した。画像はCasual

 2002年に登場した2代目デミオ。実用性を重視した初代のコンセプトを踏襲しつつ、エンジンやプラットフォームは一新している。開発のテーマは「心地よいインテリアと走る楽しさがもたらす開放感」だ。

 初代よりもホイールベースを100mm延伸し、全長・全高・全幅の全てを拡大。サイズに関しては初代フィットを強く意識したのか、フィット比で全長が95mm、全高と全幅が5mm大きく、ホイールベースが40mm長い。

 これにより、綺麗な2BOXスタイルを確立でき、安定感と力強さをデザインで表現した。またプラットフォームを共通にするフォード フェスティバ同様に、キャンバストップ仕様車を設定し、人気を集めている。

「後席」に注力するのがマツダらしさ

コンパクトカーとして十分以上の広さを備えていた
コンパクトカーとして十分以上の広さを備えていた

 初代からのボディ拡大分は、ほとんどがリアシートに使われた。これにより、リアシートの居住性は、先代比はもちろん、同時期に販売されていたライバルメーカーのコンパクトカーに比べても、群を抜いて高かったのだ。

 ヘッドクリアランスは初代よりも25mm拡大され、初代よりもさらに背の高いユーザーへ優しくなったデミオ。リアドアは80度まで開くため、後席への乗降も非常にしやすい。

 マツダは小さなクルマの開発において、リアシートの居住性を捨てないメーカーだ。軽自動車のキャロル然り、初代・2代目のデミオ然り、一般的には犠牲になってしまうリアシートの居住性を限界まで高めてくる。

 マツダのコンパクトカーへの本気度合いは、リアシートに乗ると良くわかるだろう。広さ・開放感・シートの作りなど、どれも一級品のモデルは売れ行きもいいし、クルマとしての質もイイ。

マツダは他社提供技術を使う天才だ!

スズキのアルトと共通のプラットフォームだった2代目キャロル
スズキのアルトと共通のプラットフォームだった2代目キャロル

 デミオの駆動方式には従来型のFFに加えて、必要に応じて後輪をモーターで駆動する「e-4WD」がある。これは日産自動車からの供給を受けて設定されたもの。

 2代目・3代目のキャロルがスズキの協力で製造されたのは、多くの人が知るところだと思うが、デミオでは日産の協力を得ている。多メーカーの良い技術・良いモノは積極的に取り入れて、自社製品をより良いものにしていくのがマツダの凄いところだ。

 デミオとe-4WDの組み合わせも、まさに絶妙の一言に尽きる。ユーティリティギアとして、様々な場所へ駆り出されるデミオにとって、色々な路面状況での走行安定性は使い勝手の良さを左右するものだ。その点、雪道でも余裕で走れるe-4WDは、デミオの価値を大きく引き上げた。

 筆者は3年ほど雪深い山形県でデミオのe-4WDに乗る機会があったが、山形の雪ももろともしないe-4WDには感服するばかり。唯一の弱点はe-4WDを選ぶと、アフターパーツ探しが難航することくらいか。

 スポーティに使いたくなるDY系デミオには、車高調やスポーツマフラーを組み合わせたいが、e-4WD対応のモノがほとんど無く、カスタマイズに苦労するクルマだった。もう少しアフターパーツマーケットが拡充していれば、デミオは当時の若者にとっての、最高の相棒になれただろう。

 スポルトで男性ユーザーの支持を集め、キャンバストップで女性ユーザーのハートも射止める。「小さく見えて大きく乗れる」デミオは、この2代目で完成形となった。現行MAZDA2のスポーティなデザインも良いが、やっぱりデミオは広く大きくあってほしいものだ。

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