クルマに限らず、モノは一人の目で見るよりも、複数の人たちが見たほうがその本質が見えてくるもの。ここではクラウンファミリー最後の一台、トヨタ クラウンエステートを3名の自動車評論家の方々にレポートしていただいた。
※本稿は2025年4月のものです
文:小沢コージ、竹岡圭、渡辺陽一郎、ベストカー編集部/写真:トヨタ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2025年5月26日号
現行クラウンシリーズの真打ち登場!
現行クラウンシリーズの最終弾となるエステートが、ついに発売となった。ワゴンとSUVのいいとこ取りを目指したパッケージングは、クラウンの上質、洗練、余裕に機能性を加えた“四位一体”の完成度。また、最後発だけに煮詰められた走りと質感も気になるところだ。
紙のベストカーでは、4月26日号で国沢光宏氏がショートインプレを実施。「一台ですべてをカバーできる」使い勝手と走りのよさを評価している。
また、5月10日号では鈴木直也氏が既存3モデルと合わせてイッキ乗り。キャラの棲み分けの巧みさを評したうえで、エステートの総合バランスの高さを強調した。
今回インプレッションするのは小沢コージ氏、竹岡圭氏、渡辺陽一郎氏の3人。評価は果たして……?
●トヨタ クラウンエステートRS 主要諸元
・全長×全幅×全高:4930×1880×1625mm
・ホイールベース:2850mm
・車両重量:2080kg
・パワーユニット:2.5L、直4PHEV
・エンジン最大出力/最大トルク:177ps/22.3kgm
・モーター最大出力/最大トルク:F=182ps/27.5kgm R=54ps/12.3kgm
・WLTCモード燃費:20.0km/L
・価格:810万円
実用性、走り、カッコよさがベストバランス!! 買い得モデルの設定に期待(小沢コージ)
やっと揃ったクラウン4兄弟。個人的にはこのエステートがベストだと思う。ほかの兄弟はどれも一長一短で、イイ所はあるんだけど、足りない点がどこか目につく。
クロスオーバーはカッコよく、2.5L・HV以外にもパワフルなスポーツHVが選べるけど、サイズのわりにトランクが狭めで、ハッチバックにした甲斐がない。
スポーツも走りに特化し過ぎてラゲッジが狭く、利便性がイマイチ。凝縮感があってカッコよいので、人気なのはわかるけど……。そしてセダンは正直フォーマルすぎで、全長も5m超えは長すぎ。
そこでエステートだが、デザイン、サイズ、走り、利便性すべての面でバランスが高い。クラウンの中で一番の八方美人だと思う。
特に優れているのがSUVクーペ風のスタイルのよさ。それでいて全長4930mmと、長いけどクロスオーバーと同数値だし、全幅は40mmワイドなだけ。サイズ感はさほど変わらないのに、本格的なSUV並みに使える。
前後シートはゆったりで、通常状態でのトランクは570Lと広い。さらに2列目を畳むと、大人1〜2名が車中泊できる全長2mのダブルサイズの空間が広がる。これだけでも買い。
走りもウェイトが重めなぶん重厚感があっていいし、静粛性も悪くない。唯一の問題は635万円スタートの価格。装備を減らした廉価版があれば、若い世代にも売れるハズ。
●ポイント採点チェック
・ハンドリング:7点
・加速性能:7点
・乗り心地:8点
・内装の質感:8点
・静粛性:8点
・コストパフォーマンス:6点


























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