2023年のジャパンモビリティショーでコンセプトモデルが発表されたホンダ プレリュード。2025年秋の発売に向けて開発が急ピッチで進む中、ひと足先に渡辺敏史氏、山本シンヤ氏、橋本洋平氏にその乗り味をレビューしていただこう!!
※本稿は2025年5月のものです
文:渡辺敏史、山本シンヤ、橋本洋平/写真:ホンダ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年6月10日号
往年のビッグネームが最新技術を纏って再臨!
2025年秋ごろの発売に向けて、開発も最終段階を迎えている新型プレリュード。1980年代に一世を風靡したビッグネームの復活は、SUV全盛である昨今の市場に風穴を開けることができるか。ホンダファンのみならず、多くのクルマ好きがワクワクしながら見守っている。
まだプロトタイプの段階ではあるが、プレリュードはすでにメディアに向けた試乗の機会が設けられている。
紙のベストカー2月10日号では、カモフラージュ姿https://bestcarweb.jp/feature/column/1210758のプレリュードに国沢光宏氏が試乗。モーター駆動でありながら、有段ギアのガソリン車のような運転感覚も味わえる新装備「Honda S+Shift」の面白さをレポートした。
今回プレリュードを斬る3人は、渡辺敏史氏、山本シンヤ氏、橋本洋平氏だ。
渡辺敏史「S+シフトに“騙される”ことが気持ちいい!」
これまでに判明している新しいプレリュードの中身をざっくりおさらいすると、シビックにも搭載される2Lのe:HEVユニットに、後述するS+Shiftを新たに組み合わせ、シビックタイプRの足回りを移植した、シビックベースの2ドアクーペとなる。
シビック縛りの打算的なエンジニアリングと思われるかもだが、元ネタは日本のCセグでも屈指のダイナミクスの持ち主だ。素性のよさは推して知るべし、となる。
テストコースと雪上コースという限られたシチュエーションでしか乗っていないが、走りはシビックe:HEVに対して、動力性能も運動性能も気持ちアジャイルな味付けだ。
そう思わせる主因が、実はS+Shiftの擬似有段ギアによるダイレクトかつリズミカルなフィーリングと、それに巧く呼応する疑似音とのシンクロ感にある。
言ってしまえば“気持ちよく騙されている”わけだが、ここまで巧妙にやる気を引き出してくれるなら、文句はないと納得させられる。
サスの動きは全般に柔らかくてしなやかだ。でも必要なところではねっちりと粘り込んでもくれる。
ドイツ車というよりはフランス車に近いと思わせるのは、いかにも今日のホンダらしく懐が深い。その味付けは、スペシャルティというプレリュード本来のキャラにもよく似合っていると思う。
●ポイント採点チェック
・ハンドリング:9点
・加速性能:6点
・ブレーキ性能:8点
・乗り心地:8.5点
・技術的な先進度:8点
・運転の楽しさ:8.5点
山本シンヤ「ホンダ本気のタイプSと呼びたい一台」
エクステリアはジックリ見ると歴代モデルたちの面影がさまざまな部分に見られます。インテリアも、インパネは現行ホンダ車と共通な水平基調ですが、独自のメーターデザインや高めのセンターコンソールなどによりコックピット感を強め、スペシャルティな雰囲気を盛り上げています。
パワーユニットこそシビックe:HEVと同じですが、新デバイス「Honda S+Shift」を含めて制御系はプレリュード専用。
S+モードOFFだと回転を上げずにトルクで走る大人なフィールですが、ONでは、機械的には繋がっていないはずのエンジンと駆動系がまるで繋がっているかのような直結感。
エンジンの伸びやレスポンスのよさ、そしてエンジン回転数と完全に同期した心地よいサウンドなども相まって、フルバランスされたスポーツエンジンのようなフィーリング。世界で一番官能的なハイブリッドと言っていいです。
サスペンションなどもシビックタイプR用をベースに最適化。ハンドリングは徹底的に無駄を削いだタイプRの応答速度より、ごくわずかに時間をかけることで自然さと滑らかさを強めています。
フットワークを含め、機敏すぎず、鈍感でもない絶妙なさじ加減は「爽快」を超えて「清々しさ」を感じたほど。個人的には単なるスペシャルティクーペではなく、「ホンダ本気のタイプS」と呼びたい一台です。
●ポイント採点チェック
・ハンドリング:9点
・加速性能:7点
・ブレーキ性能:7.5点
・乗り心地:8点
・技術的な先進度:8.5点
・運転の楽しさ:9点



















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