クルマの装備の中には、普段その存在をまったく意識していないにもかかわらず、意外と重要な役割を担ったものがある。今回は、地味ではあるが実力派という“縁の下の力持ち”的な5つの装備にスポットライトを当ててみた。
文/井澤利昭、写真/写真AC
【画像ギャラリー】縁の下の力持ちな装備とは?(9枚)画像ギャラリートラックだけの装備じゃないマッドガード
昭和の時代には多くクルマに標準装備されていたもののひとつがマッドガード=泥除けだ。
マッドガードは、文字通りクルマの走行時にタイヤからの泥や小石などの跳ね上がりを防ぐのがその主な役割。
かつて流行したRV車などではスタイリングのワンポイントも兼ねていたため、必ずといってよいほど装備されていたマットガードではあるが、現代では一般的なクルマはもちろん、その流れを汲むSUV車でさえ付いているのを見かけることが少なくなっている。
この理由は昔と比べて舗装路が増えたことは加え、マッドガードを付けることで起こる空気抵抗が、最近のクルマで重視されがちな燃費に悪影響を与えるとされている点が大きい。
いっぽうで、山道やダートなど未舗装路を走る機会が多いクルマではマッドガードは必須ともいえる装備だ。
その最大のメリットといえるのがやはり、小石などの跳ねによってボディやフロア下に傷が付くのを防いでくれるという点。
また、舗装路においても雨天時の雨水や泥跳ね、積雪時の雪の飛散などを軽減してくれるというのもマッドガードの役割のひとつ。
自分のクルマの汚れを防ぐのはもちろん、後続から来るクルマや対向車、周辺の歩行者に泥や雨水を撒き散らすのを防ぐという効果もある。
最近ではマッドガードが純正オプションで用意されていない車種も多いようだが、ダート走行が多いクルマではその恩恵は非常に大きい。
特にキャンプやアウトドアレジャーを楽しんでいるドライバーであれば、マットガードは絶対に付けておきたい装備といっても過言ではないだろう。
電波受信以外にもメリットが多い「シャークフィンアンテナ」
街中を走るクルマを見渡すと、必ず目にするであろうルーフの上にある小さな突起物。
この装備はサメやイルカの背ビレのような形状をしているから「シャークフィンアンテナ」や「ドルフィンアンテナ」などと呼ばれるもの。
アンテナという名前から想像できる通り、電波の送受信をするのがその主な役割だ。
シャークフィンアンテナの登場は2000年代初頭。かつては高級車にのみ採用されていたが、現在では軽自動車やコンパクトカーでも見られる一般的なものとなっている。
その大きなメリットといえるが、まずコンパクトであるという点だろう。
クルマのアンテナといえば、かつては金属製のパイプを組み合わせた伸縮式のものや、樹脂製の短い棒状をしたポールアンテナが主流だったが、洗車機や立体式駐車場で畳むのを忘れ、折れてしまうというトラブルも少なくなかった。
コンパクトかつ、洗車や駐車の際に縮めたり折り畳んだりする必要のないシャークフィンアンテナであれば、そうしたトラブルは皆無だ。
また、空力的な性能も高いため、走行時に受ける風による振動や風切り音が少ないのも大きな利点。
スタイリッシュでクルマの外観に影響が少ないというデザイン的な面でのメリットも大きい。
かつてはラジオの受信が主だったクルマのアンテナも、現代ではGPSやインテリジェンス機能を使うための双方向通信、リモコンキーからの信号の受信など、その役割が多用途化してきている。
それだけにシャークフィンアンテナの役割は、地味な見た目の以上に大きいといえるはずだ。










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