スポーツカーといえば、どちらかといえばちょっと不便で、日常的にクルマを使いたいユーザーとしてはなかなか選びにくい車種だろう。家族も乗せるとなれば、なおさらだ。
ところが、スポーツカーには、便利なクルマにはない“わくわく”が秘められているのも事実。そこで、使い勝手と楽しさを両立できるスポーツカーを探してみた。
お話をうかがったのは、レーシングドライバーの千代勝正選手。今の愛車のジューク ニスモ RSがおすすめという。
語り:千代勝正/文:Seijiro Sato(Bonobo Production)/写真:Takuya Kimura
BestCar PLUS 2016年7月18日号
楽しさ、操作性、デザインはスポーツカーが一番
─乗り始めはいつからですか?
「つい最近、まだピカピカの新車です。デザインが好きで、前から乗りたかったクルマです。乗ってみた印象は、とてもキビキビ走る。
大きさもちょうどいいです。大きなSUVだと行きにくい場所もありますが、このサイズだと駐車もしやすいし、自分の生活のサイズに合っているなと思います」
─ジュークはSUVカテゴリーのクルマですが、ニスモ仕様になると、とてもスポーティですね。
「これはニスモRSというグレードで、エンジンは1.6Lのターボ。パワフルです。スポーツモードにすると速いですよ。
ノーマルでも十分速いし、燃費をよくするエコモードもあります。パドルシフトもついていて、自分でシフトダウンもできるので、運転の楽しさをちゃんと与えてくれますね」
─なるほど、ほかにこのクルマの特筆すべき点はありますか?
「足が本当にしっかりしています。ニスモが開発したサスペンションですが、僕のクルマはさらに少し車高も下げています。とてもスポーティな味付けですね」
─千代さんのもう一台の愛車は、S15シルビア。渋い選択ですね。
「ジュークは普段の足として、友達と出かけたり、遠出したり、バーベキューやキャンプにも行けるクルマ。四駆なので冬の雪道も走れるし、本当に幅広く使うことができます。シルビアはどちらかと言うと、僕のおもちゃです。
いまだに走り屋さんとかクルマ好きの方に根強いファンが多くて、アフターパーツが全然なくならないので、いじる楽しさは大きいですね。
これからエンジンとかターボ、吸排気系、あとはシートも替えるか悩んでいます。あんなに楽しいおもちゃはないと思います」
―シルビアの前はR34スカイラインだとか。そういったクルマが好きになったきっかけは?
「『頭文字D』なんです(笑)。小・中学生当時、アニメや漫画をやっていて、影響を受けました。『頭文字D』の衝撃でハコ車が好きになりました」
─1990年代の後半ぐらい?
「そうですね。スポーツカーがまだたくさんあった時代にクルマ好きになりました。あの時代のスポーツカーは、今でも大好きなので。大事に乗りたいなと思っています」
─スポーツカーは不便なところも多いと思います。また若い人からは敬遠されている傾向もあります。そういった方たちにスポーツカーの魅力を伝えるとすると?
「スペースも狭いし荷物も入らないし、確かに不便なことも多いです。でも運転する楽しさ、操っている感覚、そしてデザインのカッコよさはスポーツカーに勝るものはありません。
日産はGT-RやフェアレディZという名車を大事にしていますし、トヨタさんが86を出して、マツダさんがニューロードスターを出したり、だんだん1990年代後半の雰囲気に戻りつつある感じはしますので、嬉しいですね」
─「みんな、スポーツカーに乗ってごらん」という感じですか?
「僕のシルビアみたいなのは、普通の人には受け入れられにくいというか(笑)、少しマニアックな要素があると思うんですけど(笑)。
そういう意味ではジューク ニスモRSなんかはスポーティな要素がありつつも、実用性も十分に兼ね備えているので、僕の世代、20代後半ぐらいの人にとって、ちょうどいいクルマだと思いますね」
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