「乗らないとクルマは長持ちする」はウソだった!? バッテリー・タイヤ・オイルの意外な劣化リスク

「乗らないとクルマは長持ちする」はウソだった!? バッテリー・タイヤ・オイルの意外な劣化リスク

 クルマは使わないほうが壊れないと思われがちだが、必ずしもそうとは言い切れない。乗らない期間が長いと逆に調子が悪くなる部分とその理由を具体的に解説します。

文:デグナー12(Team Gori)/写真:写真AC

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吸湿で油脂類が劣化、ガソリンだって腐る

 乗らないリスクとして最初にあげるのがエンジンオイルの油膜切れ。長時間乗らない期間が続くとエンジン部品を覆っていた油膜が薄くなってしまい、部品同士の摩耗を防ぐ効果が薄れてしまう。その状態でエンジン始動した場合に、部品表面にダメージを負うリスクがある。ダメージはわずかでも、それが繰り返されればエンジンの寿命は縮むだろう。

 さらに、空気中の水分を吸収し、油と水が混ざる「乳化」が起こる場合もある。エンジンが暖まった状態で走行していれば水分は蒸発するが、乗らない期間が長い場合や、ちょい乗りが多いと乳化のリスクが高い。オイルのレベルゲージやキャップに白いものが付着していたら、乳化によってオイルの性能が低下しているサイン。早めの交換をおススメしたい。

オイルキャップやレベルゲージに白っぽいクリームが付着している場合、エンジンオイルの乳化が進行している可能性が高い
オイルキャップやレベルゲージに白っぽいクリームが付着している場合、エンジンオイルの乳化が進行している可能性が高い

 他にもガソリンだって劣化する。保管状態にもよるが、半年を過ぎると劣化が進み、独特の刺激臭を放つ。ガソリンがそのような状態でエンジン始動を行うと、燃料配管やインジェクターの詰まりを引き起こし、エンジンを損傷するリスクも。特にハイブリッドカーのようにガソリンの使用量が少ない車種で、走行頻度が少ない場合は注意が必要だ。

摩耗しなくても「劣化」が進むタイヤ

 次にあげるのはタイヤ。タイヤは走らなくても紫外線や空気中のオゾンなどの影響で経年劣化する。タイヤには劣化防止剤が含まれているが、走行によってタイヤがたわんだりすることで役目を果たす。つまり、走行頻度、距離が少ないと摩耗は少ないが、劣化防止剤の効果が発揮されず、ひび割れが早まることになる。

 また、長期間同じ位置で停車していると、タイヤの同じ部分に荷重がかかり続けることでタイヤが変形。振動や異音の原因につながる。タイヤの空気も徐々に減っていくため、低い空気圧で走行を続ければ偏摩耗や燃費の悪化にもつながる。少なくとも空気圧は走行距離に関わらず月に一度の点検をしてもらいたい。

走行頻度が少なくても劣化は進行。危険な状態のタイヤで走行することがないよう、購入から時間が経ったタイヤの状態はマメにチェックしよう
走行頻度が少なくても劣化は進行。危険な状態のタイヤで走行することがないよう、購入から時間が経ったタイヤの状態はマメにチェックしよう

電装部品による待機電力によってバッテリー上りに

 クルマは乗らなくても常に少しずつバッテリーの電力を消費している。ナビ、ETC、ドライブレコーダーなどの機器の待機電力がその要因。そのため、新しいバッテリーでも長期間放置するとバッテリーが上がってしまう。一度バッテリーが上がってしまうと性能が大きく低下し、上がりやすくなる。週に一度でも良いので走行するのが望ましい。

エアコンの使用頻度が高い夏場は電力消費も大きい。チョイ乗りが多いと蓄電量も少ないため、バッテリー上りのリスクも高い
エアコンの使用頻度が高い夏場は電力消費も大きい。チョイ乗りが多いと蓄電量も少ないため、バッテリー上りのリスクも高い

 結論、乗らないことが調子を崩す原因になることも。走ることで各部の潤滑が行われ、タイヤの劣化防止剤が作用し、バッテリーも充電される。走らない=痛まないとは限らないことを理解し、走行頻度や距離が少なくてもメンテナンスを怠らないことが、愛車を長持ちさせるポイントと心得たい。

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