“スバリスト”と呼ばれる熱狂的なファンに根強く支持されるスバル。その魅力を司る独自の「味」、そしてバランスの良さとは?
2018年には60周年の節目も迎えたスバルといえば、独自の4WDシステムや水平対向エンジンといった技術の「柱」を持ち、トヨタなど大手メーカーとは一線を画すクルマ作りで多くのファンを持つ。
では、具体的なスバルの魅力・味とはどのようなモノなのか。
SUVのフォレスターからベーシックハッチのインプレッサ、スポーツモデルのBRZという毛色の異なる3台のスバル車に乗ってわかった魅力を再検証したい。
文:松田秀士、渡辺陽一郎
写真:編集部、SUBARU
ベストカー 2020年2月26日号
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伝統の4WDと縦置きエンジンを利した独自の「乗り味」
スバル車の魅力は運転の楽しさと安心感だ。その安心感をサポートしているのがスバルの売りでもある「シンメトリカルAWD」というスバル独自の4WDシステム。
FF(=前輪駆動)ベースの4WDとは違い、エンジンは縦置き。エンジンを縦置きにすることによってクルマのパーツのなかで最も軽量化が困難な重量物であるトランスミッションを、車体の中央に配することができる。
しかも、縦置きだからプロペラシャフトを車体の中央に通すことができ、それによって前後左右のドライブシャフトの長さも等長にできる。つまりシンメトリカルのど真ん中を通して左右対称にできるワケだ。
で、フォレスターもインプレッサも乗り心地に焦点を当てている。フォレスターではロール軸を車体中心に近づけてロール剛性を上げ、そのぶんバネレートをソフトの方向に振っている。
さらに入力分離マウントも採用し、フロア振動を抑制しているのだ。これによってSUVとは思えないほどフラット感の高い乗り心地となり、ハンドリングレベルが向上し、初期応答から追舵までとても軽快なハンドリングを実現している。
そして、2019年秋に大幅改良を行ったインプレッサは、SGP(スバルグローバルプラットフォーム)に、さらに剛性アップを施すことによってサスペンションの動きがよりしっかりしスムーズに動くようになっている。
これによって2〜3世代前のサスペンションの動きが蘇り、それでいてコーナリングレベルやハンドリングの楽しさは現行モデルから大きくさらに進化している。
個人的にはSGPは、もうこれ以上剛性アップの必要はないと感じていたのだけれど、実際にフェイスリフトした新しいインプレッサに乗ると、実はまだまだやることがあったのだと気づかされる。
そこを重箱の隅をつつくように常に研究開発を行い、結果として乗り心地のよさとハンドリングのスポーティさを両立させているスバルの開発陣には頭が下がる思いだ。
最後にBRZだが、FRのスポーティな楽しさをしっかりと基本に置いていて、十八番の4WD技術とはまた一線を画す方向で、FRらしいハンドリングを実現してるところがとても興味深い。
トヨタ86と姉妹車でありながらスバル独自の違った乗り味を出しているところがミソだ。
【松田秀士/レーシングドライバー・自動車評論家】
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