過剰なほどの高性能で他を圧倒するスーパースポーツカー。スーパーカーの通称でも知られるこのカテゴリーでも、残念ながら評価とビジネスそれぞれの面で失敗したモデルがある。今回は、そうした悲劇のスーパーカーを紹介していこう。
文/長谷川 敦、写真/Adobe Stock、CarWp.com、Newspress UK、Newspress USA
【画像ギャラリー】スペック怪物、セールス惨敗だったクルマたちをもっと見る(17枚)画像ギャラリー著名メーカーのまさかの失敗作
●ジャガー XJ220
イギリスの高級車メーカー・ジャガーは、長い歴史において確固たる地位を確立している。
そのジャガーが1988年のイギリス・バーミンガムモーターショーで発表したスーパーカーがXJ220で、車名の220は最高速度時速220マイル(約354km/h)を目標にしていたことを意味するという。
当初、XJ220に搭載されるエンジンはジャガーが得意とする大排気量のV12自然吸気ユニットの予定で、しかも駆動方式は4WDという豪華なクルマになる計画だった。
しかし、この構想には車体が重くなることをはじめとするさまざまな問題があり、実際の発売まで計画は大幅に修正された。
結局エンジンは6リッターのV12から3.5リッターV6ツインターボに変更され、4WDの採用も見送られた。
3.5リッターV6ターボエンジンには実績もあり、結果としてクルマの性能を高めることにもつながったのだが、多くの顧客がXJ220に求めていたのは性能ではなくV12エンジンを積む高級スーパーカーというイメージだった。
実際に予約のキャンセルが続出し、1992年の市販開始後も狙いどおりの販売実績を残すことができなかった。
●ブガッティ EB110
フランスとイタリアにルーツを持つ自動車メーカーのブガッティが開発した高性能スポーツカーがEB110。
ブガッティの創立者であるエットーレ・ブガッティのイニシャルEBと、ブガッティ創立110周年を記念した名称を持つEB110が登場したのは1991年だが、このクルマのリリースまでには紆余曲折があった。
当時のブガッティブランドはイタリア人のロマーノ・アルティオーリが所有していて、EB110開発のために著名なスタッフを招集したものの、そのEB110の方向性を巡ってアルティオーリとスタッフの間で確執が生じてしまった。
この確執によって、エクステリアデザインを手がけたマルチェロ・ガンディーニがプロジェクトから離脱。EB110は、ガンディーニの基本デザインを基に他のデザイナーが仕上げを行った。
開発の経緯は順調ではなかったが、EB110は3.5リッターV12クワッド(4基)ターボエンジンを搭載し、空力性能に優れたボディを持つスーパースポーツカーとして完成した。
そして市販が開始されるが、一連のゴタゴタによる開発費の超過や不景気などもあってこの時期のブガッティの経営状態は思わしくなく、120台あまりのEB110を生産した段階で倒産してしまう。
当然ながらEB110の生産がそれ以上続けられることはなく、ブガッティ社自体も1995年の倒産から3年後に、フォルクスワーゲン資本の別会社として生まれ変わっている。



















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