漫画『サーキットの狼』をきっかけとして起こったスーパーカーブーム。登場人物のひとりである飛鳥ミノルの愛機として登場したのがランボルギーニ ミウラP400S。日本のスーパーカーブームにおいて重要な一台「ミウラ」に試乗した!!
※本稿は2025年8月のものです
文:チャレンジャー武井/写真:音速movies、ベストカー編集部 ほか
協力:Paddockpass
初出:『ベストカー』2025年9月10日号
“猛牛”が教えてくれたスーパーカーの原点
スーパーカーブームの象徴といえば、多くの人が「カウンタック」を思い浮かべるだろう。確かに、あの未来的なフォルムは今なお伝説の存在として君臨している。
しかし、その少し前に生まれた“もうひとつの猛牛”を忘れてはいけない。そう、「ミウラ」だ。流れるようなボディライン、低く構えたルーフライン、そのスタイリングはまさに“走る芸術”。
1970年代の漫画『サーキットの狼』では、主人公・風吹裕矢の兄貴分の飛鳥ミノルの愛機として登場し、強烈な印象を残した。今回の試乗レポートでは、飛鳥ミノルが駆った「ランボルギーニ ミウラ P400S」のサーキットでの実力を、掘り下げる。
ミウラという名の革命
ミウラがラインナップされたのは1966年から1973年まで。最終モデルの生産終了からすでに50年以上が経過しているが、今なお世界中で大切に所有され、日本でも多くのミウラが存在している。
ランボルギーニの歴代モデルは闘牛にちなんだ名前で知られているが、市販車として初めて闘牛の名前を冠したのがミウラだ。闘牛飼育家「ドン・アントニオ・ミウラ」に由来し、以降、フラッグシップモデルには必ず闘牛関連の名前が採用されている。
ミウラシリーズにはP400、P400S、P400SVの3モデルがあり、新モデルが登場するたびに不具合が改善され、最終モデルが最も信頼性が高い。また、ヨーロッパ仕様と北米仕様で装備に若干の違いがあり、奥深いモデルでもある。
時代を超える感動
これまで5台のミウラに試乗した経験があるが、毎回その低いルーフにため息が出る。
左右に大きく湾曲したフロントウインドウと極端に細いAピラーは、ドライビングシートに座ると驚くほど見切りがよいことに感動する。現代ではこんなデザインのクルマを作ることは不可能なため、余計に魅力的に感じるのかもしれない。
ミウラのエンジンは自然吸気で、ウェーバーキャブレターが装着されている。エンジンを始動し、アクセルを踏み込むと、キャブレターの吸気音とエキゾーストノートが織りなす迫力ある振動が運転席に響く。さらにブリッピングすると、V12エンジンのサウンドとともにアドレナリンが湧き上がる。
トランスミッションは5速マニュアル。クラッチペダルは若干重く、踏力が必要だ。1速に入れ、クラッチをリリースするとスムーズに動き出す。車両重量が軽いため、走り出しは非常に軽快だ。
ギア比はハイギアードで、制限速度50km/hの一般道なら2速ホールドで充分走行できる。さらにアクセルを踏み込み、レブリミット付近まで回すと、2速でも100km/h近くに達する。


























コメント
コメントの使い方車高1.1mね。
スーパーカーブーム世代の少年たちには、実物を見られなくても、スペック表を眺めて数値を覚えていた者も少なくはないはず。
ロータス・ヨーロッパなんか、車高1080mmだろ。
ミウラやカウンタックも同じくらいペッタンコだけど、どれも実物を目の前にすると、その低さには驚くもんだ。