トヨタ スープラが未だに人気の理由をプロの証言から迫る

トヨタ スープラが未だに人気の理由をプロの証言から迫る

 2002年に生産終了となったトヨタのフラッグシップスポーツ、スープラ。その最終モデルとなるA80型は、生産終了から約15年が経過した今も、多くの人々を魅了している。

 その理由は何なのか? 実際に80スープラに魅了された3人のプロドライバーの証言を元に、人気の秘密に迫る。

 文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部、TOYOTA
ベストカー2017年2月26日号


スープラを愛車に。レーサーの織戸学氏を魅了した理由

 それまでS13シルビアと180SXを乗り継いできたけど、スープラはクルマ自体の設計だけでなく、インテリアも高級感があり、ドライバーのほうに向いたコックピットなど、まさに高級FRスポーツであることが印象的。

 エンジンの滑らかさやボディ剛性も高級車のそれで、トヨタ内部の人に聞いたら「バブル時代の設計なのでものすごくお金がかかっている」とのことで、あの乗り味にも納得できた。現存する台数が比較的少ないのもお気に入り。

80スープラのインパネ。シフトレバー奥にあるエアコン類のスイッチやメーター、オーディオなどは運転席側に角度が付いている。ドライバーが操作に集中しやすい設計思想が見てとれる
 
80スープラのインパネ。シフトレバー奥にあるエアコン類のスイッチやメーター、オーディオなどは運転席側に角度が付いている。ドライバーが操作に集中しやすい設計思想が見てとれる  

 乗るようになったきっかけは、2000年の全日本GT選手権(スーパーGTの前身)GT500クラスに参戦した時のマシンがスープラだったこと。

 当時、「毎日がGT選手権」というのがテーマだったので、レースカーと同じ特殊なシートポジションにして普段からGT選手権の雰囲気を味わっていた。

 当時はまだまだ自分が格好いいと思えるようなスープラのエアロがなかったので、自分でデザインしたものを描き、実際に自分で削ったりしてボク自身のブランド「RIDOX」を立ち上げた。

 そのオリジナルエアロをボクのスープラにも装着しているけど、かなりイケてるデザインだと自負している。

 今乗っているスープラは実は2年前に入手したもので、1台目は86のD1マシンを製作した際に手放してしまってね。今後はぜひエアロのバージョン2を手がけてみたい。

自身が立ち上げた「RIDOX」のエアロパーツを装着した織戸選手のA80スープラ
 
自身が立ち上げた「RIDOX」のエアロパーツを装着した織戸選手のA80スープラ  

山野哲也氏「今もスープラが日本のNo.1 FRスポーツ」

長年スーパーGTで活躍した山野哲也氏も80スープラは「ハンドリングの見本」と評す
 
長年スーパーGTで活躍した山野哲也氏も80スープラは「ハンドリングの見本」と評す  

 オッ、ボクが大好きなクルマがクローズアップされるねえ。まあ、なんといっても80スープラといえば、ひと言で「ドライバーとクルマの一体感」に尽きると思う。

 図体が大きいわりに実際に運転してみるとその大きさを感じさせず、小さく感じる。コーナリング中にそれを実感できるんだけど、ハンドリング性能が非常に高い証拠なんだと思う。

 クルマの形状やスタイリングに由来するところもあるけど、当時の開発エンジニアが性能を高めるために相当苦心して、あのジオメトリーを採用したんだろうなと推測できるんだよね。

長い直6エンジンをフロントに収め、FRクーペの典型といえるロングノーズ・ショートデッキのデザインを採用したスープラ。写真のようにオープンのエアロトップもラインアップした
 
長い直6エンジンをフロントに収め、FRクーペの典型といえるロングノーズ・ショートデッキのデザインを採用したスープラ。写真のようにオープンのエアロトップもラインアップした  

 空からクルマを見た場合に、スープラは「旋回軸」がクルマの中心、サイドブレーキの根元にある。

 この旋回軸が走行中に移動してしまうクルマが多いんだけど、スープラは変わらずどっしりとしている。現行車だとアバルト124スパイダーが近いかな。

 ボク自身はGTマシンのスープラには乗ったことがないけど、市販車の素性がよかったからGTでも活躍できたのは間違いないところだと思う。

 「ハンドリングのいい見本」だから、今でも状態のいいタマがあったら買いたいね。個人的に、いまだにこのスープラが日本のナンバーワンFRスポーツだと思うよ。

次ページは :  飯田章氏「このハンドリングを越えるトヨタ車は未だにない」

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