輸入車=ドイツ車というイメージが強いいっぽうで、日本でも確固たる地位を築いているのがアメリカのJEEPだ。
そのJEEPブランドのクルマの日本での販売が絶好調だ。SUVブームに乗っかているのは事実だと思われるが、それだけでは説明がつかないほどの売れっぷりなのだ。
JEEPが日本で売れている理由について、岡本幸一郎氏が考察していく。
文:岡本幸一郎/FIAT CHRYSLER、平野学、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】日本で販売絶好調!! JEEPブランドの5モデルは個性的で買い得感が高い!!
JEEPは日本でどのくらい売れているのか?
2019年の暦年(1月~12月)での純輸入車の販売台数は29万8378台と、前年の30万8389台から1万11台も減って30万台を下回った。
自動車の全販売台数における輸入車の比率も9.1%にとどまり、日本の輸入車市場で約7割を占める圧倒的に強いドイツ勢も軒並み前年割れとなった。
そんな中でも数字を伸ばし、独自の存在感を発揮している非ドイツ系ブランドがいくつかある。上位陣ではボルボ、ジープ、プジョーなどがそれだ。
なかでも前年比116.8%という大きな伸長を見せ、1万3354台を販売し、純輸入車のブランド別販売台数においても、6万6523台のメルセデスベンツ、4万6814台のBMW、4万6791台のフォルクスワーゲン、2万4222台のアウディ、2万3813台のBMW MINIらドイツ勢と1万8583台のボルボに次ぐ7位につけたジープの健闘が際立つ。
好調なのは2019年だけではない!!
思えばこのところジープはずっと右肩上がりで売れ行きを伸ばしてきた。それもかなり急激にである。
2008年に2352台(※以降、台数は乗用車)を販売したものの、翌2009年にはわずか1010台まで激減したが、そこから上昇基調に転じ、2010年には1877台まで挽回。
以降、2011年は3154台、2012年は4977台へと一気に数を増やし、2013年には4928台と微減するも、2014年には6691台へと大幅増加。
さらに2015年は7129台、2016年は9388台と勢いは止まらず、2017年には1万101台とついに大台を超え、2018年も1万1438台と、そして前述のとおり2019年も1万3354台と何年にもわたって過去最高の台数を更新し続けている。
いまや日本におけるジープの市場はグローバルでの約4割を占め、北米に次ぐ大きな規模となっているが、これほど好調なのはジープにとっても日本ぐらいのもの。ご参考まで、以降は中国、ドイツ、韓国、アラブ首長国連邦と続く。
ラングラーがJEEPの好調をけん引
そう知るとますまずジープがいかに日本で受け入れられているかがうかがいしれるわけだが、確かに日本でジープはいちブランドを超え、オフロード車のことをジープと呼ぶと思っている人も少なくないほど、そのイメージと名前が定着している。
そんな土壌があるうえで魅力的な商品が出てくれば、売れるのも不思議なことではない。
ではなぜこれほどまでに人気を博するようになったのか、そのヒケツのひとつはやはり「本物感」にある。
その本物感を象徴する存在であり、2019年にも大きく台数を伸ばした原動力となったのが、2018年秋にモデルチェンジしたラングラーに違いない。
件の最新のラングラーは2019-2020日本カー・オブ・ザ・イヤーのエモーショナル部門賞を受賞しており、このところ日本におけるジープ車全体の販売の中でも実に4割近くに達している。
ラングラーのようなクルマは世界を探してもそうそうない。他社にも成り立ちの近いクルマはあっても、もっと乗用車に近い雰囲気になっている。
その点、ラングラーは旧来の価値を受け継いでいて、従来のJK型からモデルチェンジして、中身は大半が刷新されているが、見た目の印象はあえて変えなかった。せっかく好意的に受け入れられているものを変えるべきでないと判断したからだ。
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