関税男・トランプ大統領の暴れっぷりの影響が出始めた。アメリカ向け自動車の輸出台数は増加しているが、輸出額は減少しているというのだ。しかしこれは日本の自動車の国際競争力を引き上げるという。いったいどういうことなのか!?
※本稿は2025年8月のものです
文:角田伸幸/写真:トヨタ、AdobeStock ほか
初出:『ベストカー』2025年9月10日号
数字に出始めた関税の影響
2025年6月の貿易統計を見てみると、アメリカ向け自動車の数字が激動している。輸出台数は12万3840台で3.4%増えているのに、輸出額が26.7%も減少しているのだ。
これはつまり、1台あたりの輸出単価が減っていることを示す。原因は言うまでもなく、関税だ。
本来関税は、日本車を現地で買う側(販売会社)が支払うべきだが、その関税分をそっくり販売価格に上乗せしてはクルマが売れない。そこで自動車メーカー自身が関税の一部を負担すべく、あらかじめ卸値を下げて輸出しているわけだ。
この値下げは当然メーカーの収益を圧迫するわけだが、ご存知のとおり7月末に日本車の関税が予定されていた27.5%から15%へと引き下げられた。
この15%が低いか高いか。現時点では双方の見方があって結論が出ないが、ただひとつ言えるのは、この圧力によって日本車が「鍛えられる」ということだ。
最近の日本車は中国製EVの安さに押されて防戦一方だが、関税による原価低減の努力は、それへの対抗力ともなる。苦難を経て強くなる日本車に期待だ。









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