1976年に設立されたホンダ直系の学校法人、ホンダ学園。このたび創立50周年を記念して、学生たちがヒストリック版モンテカルロラリーに挑戦する。取材会に出席した奥野大志氏が、チャレンジの詳細と、ホンダ学園の魅力を探る。
※本稿は2025年9月のものです
文:奥野大志/写真:奥野大志、ホンダ ほか
初出:『ベストカー』2025年10月10日号
学生がマシン製作とチーム運営全般を担当
「第28回ラリー・モンテカルロ・ヒストリック」への挑戦は、ホンダ学園が運営するホンダテクニカルカレッジ(HTC)関東/関西の学生有志約30名が主体となって行う。
マシンは1975年式のシビックRS(SB1)で、学生たちが自らの手でレストア。ラリーに出場するために必要な架装も行っている。
しかも、マシンは2台製作しており、1台目のドライバーはF1で活躍後、2回のインディ500優勝を果たした佐藤琢磨氏。
2台目のドライバーはHTC関東の校長が務め、学生は2台のコ・ドライバーを務めるほか、宿泊手配やロジスティクスを含む、すべての運営を担当する。
HTC関東で行われた取材会には、一堂が登壇。生の声を聞くことができたが、学生のモチベーションの高さが印象に残った。
学生代表の松野翔太さんは「先輩方がこのラリーにずっと挑戦していて、ボロボロのクルマをきれいに直して走らせることに凄くロマンを感じていて、楽しそうだと思いました」と回答。
さらに飯塚はるなさんは「このプロジェクトの話を聞いた時、言い過ぎかもしれませんが、今後の人生でこういう経験ができるかわからないと思い、参加してリーダーをやりたいと思いました」と回答し、メディア関係者は感心しきり。
一方、ドライバーを務める佐藤氏にも質問があった。佐藤氏は「学生のプロジェクトですから、全員が安全にチャレンジを遂行でき、すべての工程を終えるというのが最大の目標です。
できるだけ学生たちの手を煩わせず、ていねいに運転しながらも、レーシングドライバーですから、ホンダらしく一番を狙っていきたい」とコメント。佐藤氏らしい選手宣誓となった。
学生から感じる“ホンダLOVE”
学生のモチベーションが高いのはなぜか? 筆者は「ホンダ愛」にあふれる学生が全国から集まることが最大の理由と考えている。
HTC関東には、サービスエンジニア学科(2年)、一級自動車整備学科(4年)、研究開発学科(4年)という3つの学科があり、卒業生の多くはホンダカーズやホンダ、サプライヤーに就職。
なかにはF1のレッドブルで活躍しているOBもおり、ホンダ印を夢見る若者にとって、ホンダ学園は魅力的な選択肢だ。
実際、キャンパス見学中に言葉を交わした学生からもホンダ愛を強く感じた。学生が製作した車両を見ることができたが、タイプR風カラーリングをモチーフにしたライフがあり、なかなかのホンダマニアっぷり。
二輪車メーカーらしく、オフロード部もあり、しっかり学んでホンダマンとして社会に出る準備をしている目的意識の高い学生が集まっているのだろう。
本田宗一郎氏の「技術の位置を認識し、かつ人に愛され信頼される人間作りが最優先されるべきです」(開校時のメッセージ、一部抜粋)という方針は、確実に実を結んでいる。
2026年2月のラリー本番は日本の自動車業界が注目する、一大イベントとなるだろう。
●第28回「ラリー・モンテカルロ・ヒストリック」開催の概要
モナコをはじめとして複数都市で、2026年2月1日から2月7日まで開催予定。約2000~3000kmを決められた平均速度で走行し、精度と対応力を競う。
1911年から1980年代初頭までの「ラリー・モンテカルロ」に参加実績のあるクルマが参加できる。














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